富士通とほくほくフィナンシャルグループは7月28日、気候関連財務情報開示タスクフォースの提言に沿った情報開示(以下 TCFD開示)を支援するアルゴリズムを開発したことを発表した。開発にあたっては、同アルゴリズムがTCFD開示準備の業務効率化に貢献することを実証実験により確認したとのことだ。

TCFDとは気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を指し、FSB(Financial Stability Board:金融安定理事会)によって、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された。

気候変動は世界に経済的なリスクをもたらし得るため、TCFD開示への関心が高まっている。日本においても、2022年4月から東京証券取引所のプライム市場への上場企業はTCFD開示が義務付けられるようになるなど、気候関連リスクに対する企業への影響や戦略に注目が集まる。

このような背景を受けて、富士通とほくほくファイナンシャルグループは、気候関連リスクの中でも特に優先度が高い水害リスクの計測を正確かつ効率的に実施する取り組みを開始したとのことだ。

今回両者が開発したアルゴリズムは、取引先データと行政が発行しているハザードデータをひとつのマップ上に自動で配置し、水害発生時の取引先の物理リスクを算出するものだ。両社が約5カ月間の実証実験を行った結果、取引先の所在地をハザードマップにプロットする処理をシステム化したことで、ほくほくファイナンシャルグループにおける業務負担が約850時間削減され、TCFD開示の準備が効率化できたという。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

両社は今後について、同アルゴリズムを金融業だけでなく他業種の企業へも展開できるようビジネス検証を進める予定だとしている。特に、水害によって影響を受ける重要な社会インフラの一つである物流ネットワークに対し、二酸化炭素排出量削減を目指す取り組みと合わせた検討も実施するとのことだ。