7月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2022年1月から6月までの全国企業倒産の集計結果が発表された。同年同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では3045件件/1兆7630億8300万円 、東京商工リサーチの発表では3,060件/1兆7,088億1,800万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2022年上半期の倒産件数は3045件(前年同期3083件)となり、前年同期から1.2%減少した。上半期としては5年連続の減少となったが、減少幅は前年同期(21.8%減)から大幅に縮小したという。
負債総額は1兆7630億8300万円(前年同期6280億7600万円、180.7%増)と、マレリホールディングスの法的整理の影響もあり、大幅増となった。年上半期として1兆円を上回ったのは、タカタ(2017年上半期)の倒産発生以来5年ぶりとのこと。
業種別では、7業種中4業種で前年同期を上回った。建設業(前年同期530件→583件、10.0%増)では、2009年上半期以来の2ケタ増を記録した。運輸・通信業(同143件→157件、9.8%増)では、燃料費高騰やドライバー不足の影響を受け、道路貨物運送(同89件→109件)で増加が目立った。サービス業(同709件→774件、9.2%増)は、市場縮小が続くパチンコホールなど娯楽業(同35件→51件)などで増加、全体でも上半期として3年ぶりの増加に転じた。
地域別では、9地域中6地域で前年同期を下回った。関東(前年同期1165件→1117件、4.1%減)は、半期ベースで東京が5期連続、埼玉が4期連続で減少するなど、全体でも5期連続の前年同期比減少となった。一方、北海道(前年同期78件→103件、32.1%増)、東北(同106件→182件、71.7%増)、九州(同228件→245件、7.5%増)の3地域では前年同期を上回った。
帝国データバンクは、注目すべき倒産動向として、コロナ融資を受けた後に倒産した「コロナ融資後倒産」を挙げている。2022年6月までに判明したコロナ融資後倒産は、累計で362件に達したという。「コロナ融資後倒産」は最初の発生から100件まで1年1カ月を要したのに対し、200件までの到達期間は6カ月と、コロナ融資後倒産の発生ペースが加速しているとのことだ。
東京商工リサーチの調査結果
2022年上半期(1-6月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)の件数は3,060件(前年同期比0.5%増)だった。件数は、微増ながら上半期としては2年ぶりに前年同期を上回った。2022年は4月以降、3カ月連続で前年同月を上回り、コロナ関連支援で抑制されていた倒産が増勢の兆しを強めているとのことだ。
対する負債総額は1兆7,088億1,800万円(同179.3%増)で、3年ぶりに前年同期を上回った。負債が10億円以上は88件(前年同期78件)、同5億円以上10億円未満が106件(同95件)、同1億円以上5億円未満が608件(同578件)で、徐々に中堅企業にも倒産が広がりつつあるという。
産業別では、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業他の10産業のうち、農・林・漁・鉱業、建設業、運輸業、情報通信業の4産業が前年同期を上回った。
最多はサービス業他の993件(前年同期比0.3%減)で、上半期としては2年連続で前年同期を下回った。一方、建設業576件(同9.2%増)は、2008年同期以来、14年ぶりに前年同期を上回った。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、北海道と東北、九州を除く6地区で前年同期を下回った。
北海道108件(前年同期比40.2%増)は、上半期としては2017年以来、5年ぶりに前年同期を上回った。東北171件(同59.8%増)は2年ぶり、九州257件(同8.8%増)は3年ぶりに、それぞれ増加した。