日本IBMは6月13日、同社のシンクタンクであるIBM Institute for Business Value(IBV)が、CFO(最高財務責任者)を対象とした調査結果をまとめたレポート「経営層スタディ・シリーズ:CFO スタディ 2021」の日本語版(第21版)を公開したと発表した。

同レポートは、世界43の国や地域、28業界の2000名(日本の80名を含む)のCFOを対象に、定量調査と18年以上にわたるデータの詳細分析、定性的な直接インタビューを実施した調査結果がまとめられている。

同調査によると、調査対象企業のCFOが率いる経理財務部門には、従来の経理財務業務に加え、企業戦略の策定と実行において企業価値の向上に資する意思決定の支援がCEOから強く求められていることが明らかになった。しかし、実態としては、従来の経理財務業務に割く時間が多く、CFOが意思決定支援に費やす時間は全体の25%、分析とアクションに至っては、全体の10%未満という調査結果となった。

日本のCFOは世界のCFO同様、企業戦略の策定と実行において自社の経理財務部門が有効に機能していると回答した割合は半数未満だった。

また、同調査によれば、日本と世界のCFOはともに、意思決定には高度なアナリティクスとAIが重要であると認識している(「収益性/利益率分析」に高度なアナリティクスを利用している割合:日本 56%/世界 53%、AIを利用している割合:日本 65%/世界 53%)。

意思決定支援の方法(効率性、スピード、実行力、正確性)に基づき経理財務部門を「戦略的アドバイザー」、「慎重な決定者」、「アクション設計者」、「限定的関与者」の4つのタイプに類型化した結果、日本のCFOの21%が戦略的アドバイザーを選択した(世界のCFOは15%)。

  • 経理財務部門を4つに類型化した調査結果。出所:日本IBM

今回の調査結果をもとにIBMは、企業のCFOが戦略的アドバイザーとして意思決定支援をするため、「戦略に注力し、意思決定を支援すること」、「経理財務部門のアジャイル化を進めること」、「データを企業文化の中心に据えること」、「人財に投資すること」、「テクノロジーを活用し、インテリジェンスを強化すること」の5つの行動指標を推奨する。