デロイトトーマツグループは6月9日、2021年11月~2022年2月の間、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、南アフリカ、英国、米国の計10か国で合計5000人の働く女性を対象に実施した世界調査の結果を発表した。同時に、調査対象のうち日本で働く女性500人の回答から示された傾向やグローバル平均との比較も公開した。
これによると、日本・グローバルともに、半数以上(日本57%、グローバル53%)の女性のストレスレベルが1年前よりも高まっていることが分かった。また、日本の女性はグローバルの女性に比べ、燃え尽きたと感じている割合が高い(日本50%、グローバル46%)。 特に、パンデミック以降に「勤務時間が変わった」と答えた女性は、勤務時間が変わらなかった女性やパートタイム勤務の女性に比べ、ストレスや燃え尽きたと感じている割合が多いという結果が示されたという。グローバル、日本共に「燃え尽き」は退職を考える原因のトップとなっており、同社は企業側は女性の離職率上昇を防ぐために、ケアを検討する必要があると指摘している。
また、日本で働く女性がメンタルヘルスの状態が「悪い(含む非常に悪い)」と回答した比率も、グローバルの女性に比べて高い(日本57%、グローバル49%)。
しかし、日本の女性はグローバルの女性に比べて職場でメンタルヘルスを話題にしない傾向にあり、「メンタルヘルス上の理由で休みを取ったことがある」(31%)、「休みの理由がメンタルヘルス上の問題であることを話すことに抵抗がない」(29%)、「職場で十分なメンタルヘルスサポートを受けている」(39%)など、メンタルヘルスに起因する不調を周囲に打ち明けたり、サポートや休暇を利用したりするといったことがグローバルの女性に比べて少ないことが同調査で分かった。
さらに、日本・グローバルともに「過去1年の間に、ハラスメントやマイクロアグレッションなどを経験した」と回答した割合が昨年調査時よりも増加しており、特に日本の女性の回答割合は、45%から64%へと大きく増加している(グローバルでは、52%から59%へ増加)。
マイクロアグレッションとは、特定の属性の人を無自覚に傷つける日常的な言動のことであり、バイアス・思い込みに基づいた相手を傷つけるような発言のほか、「男性中心になりがちな場に呼ばれない」、「会議で発言する機会が少ない」、「インフォーマルなやりとりや会話から排除される」などの職場における疎外が含まれるという。
なかでも、リモート・出社を組み合わせたハイブリッド型で働く女性は、完全リモート型・完全出社型で働く女性に比べて、過去12カ月間におけるマイクロアグレッションの経験率が高い傾向があった。柔軟な働き方が可能な一方で、異なる働き方をするメンバー間での包摂的な環境づくりが課題として浮き彫りになっていることが示された。