Salesforceは6月7日、クラウドベースの分析プラットフォーム「Tableau Online」の後継製品として「Tableau Cloud」の提供を開始すると発表し、記者会見を開いた。Snowflakeとのパートナーシップにより、TableauのユーザーはSnowflakeのトライアルを利用できるようになり、SnowflakeのユーザーはTableauのトライアルを利用可能になることも発表された。
SalesforceでTableauのCPO(Chief Production Officer:担当最高製品責任者)を務めるFrancois Ajenstat氏は「私たちは現在、データの時代に生きていると言えるだろう。Tableau Cloudはこの時代において、より簡単に、より迅速に、より拡張性高い分析を提供できるソリューションだ」と説明していた。
Tableau Cloudはチーム内や顧客とのデータ分析に強みを持つが、今回は新たに公開共有機能を備え社外向けサイトへの埋め込みにも対応するため、外部に向けた情報発信にも利用できるようになったとのことだ。ダッシュボード画面から数回のクリック操作のみで外部へ公開するためのHTMLコードを取得できる。
記者会見では、誰もがデータ分析を容易に実行するためにTableau Cloudが提供を開始する新機能として、「データストーリー」も紹介された。同機能はBI(Business Intelligence)ツールによる分析結果を要約し、あたかも私たちが日常で使う話し言葉のように結果を示すのだという。なお、同機能は当面は英語のみに対応するとのことだ。
「モデルビルダー」もデータ分析を民主化するための新機能として発表された。同機能は、統計モデリングと機械学習によりビジネスインテリジェンスを増強するEinstein Discoveryを備えており、ノーコードでの機械学習を可能にするという。データソースにアクセスしたあと、目的に応じて予測モデルを選択することでコードを記述せずに予測を開始できる点が特徴だ。アルゴリズムは機械学習に広く使われるものから選択できるほか、複数のアルゴリズムを試して最も成績が良かったアルゴリズムを選別することも可能だ。
記者会見では、新サービスの「Tableau Accelerators」と「Tableau Exchange」の機能拡張についても紹介された。
Tableau Acceleratorsは業界や使用目的に応じてすぐに利用を開始できるダッシュボード機能だ。SalesforceやMarketo、ServiceNowなど一般的なデータソースに対応するテンプレートのような「Accelerators」を提供している。
また、Tableau ExchangeはTableauプラットフォーム上で機能するさまざまなモジュールをつなぐハブとして機能する。Salesforceおよびパートナー企業が開発した100以上のモジュールのようなAcceleratorsを提供しており、ユーザーは任意のAcceleratorsを検索して独自のダッシュボードをカスタマイズ可能だ。
2019年にSalesforceがTableauの買収完了を発表し、同社は誰もがデータを利活用できる体制を目指してきたという。セールスフォース・ジャパンの常務執行役員でTableau事業統括カントリーマネージャーを務める佐藤豊氏は「Tableauが、Salesforceが構築を進めるCRMプラットフォーム『Customer 360』に参画したことで、同プラットフォーム上に蓄積されるデータを誰もが理解しやすい仕組みを構築できるようになった」とコメントしていた。