NECと電子学園情報経営イノベーション専門職大学(iU)は5月30日、学生個人ごとの最適な学びと新しい教育手法の提供に向けて、iUのラーニング・アナリティクス研究と、NECが保有するXR技術および「NEC感情分析ソリューション」を活用した、仮想空間授業の実証実験を実施したことを発表した。
同実証では、物理的な制約が少ない仮想空間において、論理的思考力・問題解決力・数量的スキル・情報リテラシー、およびコミュニケーションスキルなどの育成に焦点をおいた学生参加型授業を実施した。装着デバイスから取得した行動データ、およびバイタルデータから感情の変化を分析し、学生個々の授業への集中度や興味を持ったポイントなどを確認したという。
今回の実証は、大学の学士課程教育で、知識伝達に重きを置く受動的な学修形態から、教員と学生が対話し知的に成長する場を作り、学生が主体的に問題を発見し、解を見出していく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が進められていることを背景に行われた。
各者の役割としては、iUが、教員と学生がVRゴーグルとウェアラブルデバイスを装着して同空間にアバターとして参加し、授業を実施して取得データの有効性の評価し、NECが、仮想空間の構築を行い、行動データやバイタルデータの取得や分析を行った。
データ分析においては、複数データを組み合わせて多角的に分析できる環境を早期に構築するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)に有効なAI、生体認証、映像分析、セキュリティ技術などが統合されたプラットフォーム「NEC Digital Platform」が活用された。
実証の結果として、NECは、VRゴーグルから取得した視線や会話などの行動データやウェアラブルデバイスから取得した心拍変動データに対して「NEC 感情分析ソリューション」を活用し、感情変化、覚醒度、会話量を時系列に表示することで学生個々の授業への集中度、興味を持ったポイントなどの可視化に成功したという。さらに授業進行中の学生指導へ活用できる可能性も確認できているとのことだ。
今後、両者はさらなる実証を重ね、実証で取得したデータから学生個人の傾向を分析し、教員が行う学生指導や学生自身の主体的な学びを加速する仕組みに活用していく。また、XR技術や高速大容量・低遅延な通信を実現するローカル5Gなど先進技術の活用によって学びの場所・機会を増やし、メタバース時代における新しい学び方の提供を目指していきたい考え。