大阪大学産業科学研究所と凸版印刷は5月27日、「リアルタイムAI技術」の社会実装に向けた共同研究を同月より開始すると発表した。

リアルタイムAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術は、産業科学研究所 産業科学AIセンターの櫻井研究室が研究を進めている独自のAIアルゴリズムだ。工場などの生産現場におけるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器やヘルスケア機器のセンサから収集されるような連続的な時系列データをリアルタイムで解析可能だという。

同技術は複数のAIモデルを切り替えながら先の状況を推論可能な特徴を持ち、環境変化や外的要因を受けやすい個人差があるような事象に対して高速かつ高精度な予測を可能にするとのことだ。

両者は同技術の社会実装を推進するべく、その第一弾として、凸版印刷の生産現場における設備コンディション予測や、リアルタイムに取得した生体データから明らかにできる個人の健康と心理状態を予測するサービスの開発に向けた技術検証に取り組む。

  • 「リアルタイムAI技術」を用いたスマートファクトリーのイメージ

    「リアルタイムAI技術」を用いたスマートファクトリーのイメージ

設備コンディションの予測では、予知保全の技術適用方法の確立に取り組む予定だ。製造設備から取得される稼働データの時系列傾向を把握し、設備コンディションを分析するAIモデルを開発する。

また、生体データを活用したサービス開発においては、日々の行動データやウェアラブル端末から取得される生体データを用いて個人の健康状態や心理状態の推移を予測し、利用者の健康管理や顧客接点強化を支援するAIモデルの開発を目指す。