ソフトバンクは5月26日、5G(第5世代移動通信システム)に対応するMEC(メック:Multi-access Edge Computing)の全国展開を順次開始するとして、関東地方に5G MECの提供拠点を開設したことを発表した。

MECとはユーザーの使うデバイスに近い場所にサーバーの代わりをするコンピューターを置くことで通信の効率化を図る技術だという。ユーザーに近い場所でデータ処理が行われるため低遅延を実現できるとのことだ。

同社は5G MECを活用して、スタンドアローン(Stand Alone)方式の5G商用サービス(5G SA)による低遅延かつ高品質でセキュアなアプリケーションの通信環境を提供するという。今後は5G SAのネットワークの内ユーザー通信端末に近い場所にアプリケーションを展開することで、サーバーへのアクセスに要する時間を短縮し、低遅延なサービスの提供につながると期待される。

同社の5G MECでは、次世代のアプリケーション開発の業界標準であるKubernetes(クバネティス)ベースのコンテナ基盤を提供する。サーバーの設置など物理基盤の構築からアプリケーションの展開まで自動化しているため、サービスの提供の迅速化や耐故障性、アプリケーションの開発やトライアルの容易性に優れたネットワーク環境を提供するとのことだ。

さらに、5G MECでは同社によるサービスの提供だけではなく、ユーザーによるサービスの提供にかかる時間も大幅に短縮してサービスを展開可能となる。自動運転やスマートビルの管理、工場の自動化、クラウドゲーミングといったさまざまな産業のユースケースでの活用が見込めるとのことだ。

同社は今後について、パートナー各社とのさまざまなユースケースを想定した実証実験を進めるとともに、5G MECの全国展開を進める。さらに、SRv6 Flex-AlgoやSRv6 MUP(Mobile User Plane)などの最新技術と組み合わせることで、サービス要件に応じた専用の仮想ネットワークが提供できるネットワークスライシングや、MECの特性を生かした低遅延サービスを迅速かつ柔軟に提供できるよう開発を進める。