LeapMindは5月25日、超低消費電力AI推論アクセラレータIP「Efficiera(エフィシエラ)」の技術を用いた新たなディープラーニングモデル「Efficiera 異常検知モデル」を開発し、6月から提供を開始すると発表した。同モデルは製造業向けの外観検査に特化しており、人手不足が叫ばれる製造現場に迅速に導入可能で、省人化やセキュリティリスクの低減にも貢献するという。

  • 外観検査の異常検知のイメージ

    外観検査の異常検知のイメージ

同モデルの特徴は、学習と推論が共にFPGA(Field Programmable Gate Array)搭載の小型エッジデバイス上で完結する点と学習が正常データのみで完了する点だ。この特徴により、クラウド型のAIを利用する場合と比べて検査対象の画像をデバイス外に出す必要がなく、社外送信時に懸念される情報漏えいのリスクを低減するほか、広帯域ネットワークやクラウドサービスのコスト削減にも寄与する。

また、正常データのみで学習可能な特徴から学習時のアノテーション作業が不要であり、多量の不良品データが無くても学習を開始できる上、社外へ画像を送信する際の煩雑な秘密保持契約の手間などの低減も見込める。オンプレミスのGPUサーバを利用する場合と比べると、機材コストや設置スペースなどの懸念も解決できる。

さらに、学習は数十枚の正常データのみを使って数秒で完了できるためアノテーション作業が不要なだけでなく、学習した不良しか検知できないといったリスクを下げ、想定外の異常も検出する。数秒間で学習が完了するため現場への迅速なAI導入も可能だ。

AIが異常と判定した部分はヒートマップで視覚化し、多品種少量の生産ラインでもAIエンジニアのサポートを受けることなく各現場で対応できるという。IT人材の確保が困難な企業や広帯域ネットワークを利用できない地方に製造拠点を持つ企業においても、同モデルの提供により、スムーズなAIの実用化を支援し製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献するとしている。

  • 異常と判定した部分はヒートマップにより視覚化する

    異常と判定した部分はヒートマップにより視覚化する