テラスペースと北越コーポレーションは、テラスペースが2025年に打ち上げを目指している、世界初となる“紙の人工衛星”初号機「PAPER-SAT」開発プロジェクトに、紙パルプおよびパッケージング・紙加工業の北越コーポレーションが参画することを発表した。
また、PAPER-SATの開発のため、テラスペースが2023年に打ち上げる予定のキューブサット6U汎用衛星の初号機「TATARA-1」の外装の一部に、北越コーポレーションが開発したセルロースナノファイバー(CNF)で強化された紙である「ReCell」が試用され、衛星軌道上において耐久性などの実証試験を行うことも併せて発表された。
キューブサットは1ユニット(U)がおよそ10cmの立方体をつなぎ合わせた超小型衛星で、TATARA-1の場合は2×3の6Uであり、およそ10cm×20cm×30cmのサイズとなる。
一般的に、キューブサットの筐体や外装などはアルミニウム製となっているが、ReCellを外装として用いることで、強度を維持しつつ軽量化が期待できるという。宇宙へものを運ぶには軽ければ軽いほどいいため、アルミニウムと同等の性能を維持できるのであれば、可能な限りCNFで強化された紙に置き換えることが今後の超小型衛星開発のトレンドとなるかもしれない。
また、ReCellを採用することの利点として、アルミニウムよりも電波を透過しやすく、通信用アンテナを衛星内部に搭載することも可能となる点も挙げられる。衛星設計の自由度を広げることができるという。
さらに、現在の人工衛星はミッションを終えても、スペースデブリにならないようにすることが重要となる。低軌道のものは大気圏に再突入させて燃やしてしまう方法が採られるが、アルミニウムなどの金属の場合、大気汚染を引き起こす可能性があるという研究も報告されている。しかし、その点に関してもReCellの場合は、CNFも含めてすべて植物由来であることから、大気との摩擦熱で燃えてしまえば水蒸気とCO2になるだけであり、環境汚染を引き起こすような危険性はないといわれている。