米Gartnerは5月18日(現地時間)、世界のCEOおよび上級経営幹部を対象に実施した調査結果を発表した。これによると、CEOの63%が自社ビジネスへのメタバースの適用に否定的だという。

  • メタバースに関するCEOの見解 資料:米Gartner

同調査は2021年7~12月に実施し、北米、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋の地域におけるさまざまな業界、売上高、規模の企業に属する400人以上のCEOおよび上級経営幹部から回答を得たとのこと。

CEOは、最も影響を及ぼす新規テクノロジーとして3年連続で人工知能(AI)を挙げている一方で、メタバースについては、CEOの63%が自社ビジネスに「適用できないテクノロジー」または「主要テクノロジーになる可能性が非常に低い」と回答している。

同社のアナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのマーク・ラスキーノ氏は、「一部のCEOはこれまで、熱狂的すぎるくらい新しいテクノロジーのアイデアをビジネスに取り入れてきた。しかし、メタバースの場合、『自社のビジネスにとって主要テクノロジになる可能性が非常に高い』と考えている回答者が、言葉どおり自信を持っているかどうかは疑問だ」と述べている。

CEOの戦略的なビジネス優先課題では、環境サステナビリティが8位となった。その順位は、2019年の14位、2015年の20位から大きく上昇している。CEOの74%は、ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組みの強化によって投資家に自社の魅力を高められると考えているという。

2022年から2023年にかけて、プロダクトの新規開発/改善に投資予定と回答したCEOの割合は80%だった。さらに、そのような投資の必要性を高めている要因を尋ねたところ、環境サステナビリティは「機能/性能」「一般的な品質」の課題に次いで3番目だった。

また、競争上の差別化要因について上位2つを尋ねた設問では、CEOは環境サステナビリティと「自社ブランドへの信頼」を同等レベルに挙げている。CEOの62%は、一般的なインフレを恒常的または長期的な課題と捉えているという。

これに対するCEOの最大の対応策は、生産性向上と効率化(回答者の22%)ではなく、値上げ(回答者の51%)だった。生産性向上と効率化は、2022年のCEOのビジネス優先課題のトップ10にも入っていない。