SolarWindsは5月16日、4月に提供を開始した新製品「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」に関する記者説明会を開催した。

同社はこれまで、ネットワークやシステムのモニタリング・ソフトウェアを中心にビジネスを展開してきた。そうした中、新製品として、ネットワーク、システム、アプリケーション、データベースのオブザーバビリティ(観測性)を実現するソフトウェアの提供が開始された。

SolarWinds 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるスダカー・ラマクリシュナ氏は「われわれはモニタリングを提供する分野でリーダーシップを持っていた。これからはオブザーバビリティに足を踏み入れ、オブザーバビリティのリーダーを目指す」と述べ、、モニタリングとオブザーバビリティの違いについて、次のように説明した。

「企業の環境には、ネットワーク、システム、アプリケーションが存在している。相関性を見出すのはITの専門家が行う。これに対し、オブザーバビリティは、分散型ハイブリッドネットワーク環境を包括的かつ統合的に監視・把握することを可能にする。これにより、システムの利用者が相関性を自分で見出して、問題を特定できるようになる。その結果、ITオペレーションの生産性が上がり、コスト削減や複雑性の解消にもつながる」

  • SolarWinds 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるスダカー・ラマクリシュナ氏

具体的に、「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」は、ネットワーク・システム・セキュリティ・アプケーション・データベースについて、監視・分析・予測を行い、その結果に基づき修復などの対応を行う。

IT部門は、同製品の社内のITの相関性を把握可能なインテリジェンスを活用することで、問題や異常をより効率的に特定して優先順位を付けて解決することが可能になる。これにより、コンプライアンスや攻撃対象リスクを低減し、パフォーマンスと容量の最適化を正確に判断することが実現される。

  • 「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」の概要

ラマクリシュナ氏はビジネスモデルの転換についても説明した。料金体系の転換として、サブスクリプションでの提供やノードベースのライセンス体系を開始しているほか、製品ごとではなく、パッケージングしての価格体系を採用している。

国内の事業戦略については、ソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長を務める脇本亜紀氏が説明を行った。同氏は、「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」について、「包括的な可視化がポイント。セキュア・バイ・デザインのコンセプトの下で開発されており、安全に提供できる。オープンテレメトリのサポートがロードマップに含まれており、ITサービスとの連携によって、修復の自動化まで実現できる」と説明した。

  • ソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長 脇本亜紀氏

加えて、脇本氏は「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」の特徴として、「可視化のためのポイントが大量にあること」「カスタマイズが容易であること」「コンプライアンス対応にも役立つこと」を挙げた。

  • 「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」はセキュア・バイ・デザインの下、開発された

続いて、脇本氏は国内の状況の説明を行った。日本市場向けの戦略は、「ハイタッチ営業」「パートナー戦略」「認知度向上」「組織の強化」を柱としている。

「ハイタッチ営業」においては、監視や可視化の領域で顧客のTrusted Advisorになるための活動に注力しているという。「日本の顧客は死活監視にとどまっている企業が多いが、性能監視にチャレンジする企業も増えている。さらに、先進的な企業の多くは共通して予兆を検知したいと言っており、われわれが注力するオブザーバビリティの流れとマッチしているとみて、自信を持っている」(脇本氏)

「パートナー戦略」においては、トレーニングに重点を置き、SE、営業部門に製品関連のトレーニングを提供してきたそうだ。「認知度向上」に関しては、ユーザー会「THWACK」の拡大に力を入れており、日本企業に役立つコンテンツをローカライズしており、閲覧数も増えているとのことだ。

「組織の強化」に向けては、データベース管理製品と可視化製品への投資を強化しており、専任の製品営業、SE、サポートリソースを採用したという。

  • ソーラーウインズ・ジャパンの日本市場向けの戦略