リコーとサイボウズは4月27日、国内外での伴走型サポートによるオフィスのDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を目的として、デジタルサービス事業に関する業務提携に合意したことを発表し、記者会見を開いた。
具体的には、サイボウズが展開する業務改善プラットフォーム「kintone」をリコーと共同開発し、「リコーブランド版kintone(仮称)」としてグローバル展開する予定だという。
サイボウズのkintoneはデータベースやプロセス管理、コミュニケーションなどの機能を持ち、プログラミングの専門知識がなくてもローコード・ノーコードでシステムを構築できるクラウドサービスだ。
リコーは10年ほど前から、サイボウズのパートナー企業としてkintoneの販売に携わっているという。社内にはkintone支援センターを設置するなど、同製品に特化した提案実績も持つ。これに加えて、今回の業務提携により、サイボウズはリコーグループが持つグローバル規模の販売チャネルを利用できるようになる。
サイボウズの代表取締役社長である青野慶久氏は、両社が業務提携に至った経緯について「なんと言っても山下社長の熱意に尽きる。業務提携のお話を頂いたときは半信半疑だったが、山下社長はじめリコーの皆さんがフルコミットで尽くしてくれたので、私は心を打たれた」と振り返った。
一方のリコーは、MFP(Multifunction Peripheral:複合機)を中心としたデバイスとアプリケーションを展開し、オフィスと現場をつなぐプラットフォーム「RSI(Ricoh Smart Integration)」の基盤構築を進める。
2019年にコンテンツサービスプラットフォームのグローバルベンダー「DocuWare」の全株式を取得し、2022年にはデジタルプロセスオートメーションのグローバルベンダー「Axon Ivy AG」の全株式を取得するなど、ドキュメントからデジタルプロセスまで一貫してカバーするためのRSIポートフォリオを盤石なものとしている。
リコーの代表取締役社長執行役員である山下良則氏は「Axon Ivyは主に大手企業向けのサービスを展開しており、中小企業や中小規模の地方自治体に向けたRSIの強化が宿題として残されていた。まさにリコーブランド版kintone(仮称)は、われわれに足りなかった詩の一節を埋めてくれるようなサービスだ」と語った。
両社はリコーブランド版kintone(仮称)について、まずはリコーが強みとする伴走型サービスを生かしたグローバル展開を進める予定としている。2022年内に北米での展開を開始し、順次ヨーロッパへと拡大する。2025年までに100憶円規模のビジネス創出を目指すとのことだ。
さらには、リコーの顧客接点力を発揮した業務課題の深堀りと、それに応じた専用プラグインの開発にも着手する。プリント機能の強化やスキャナーとの連携など、リコーブランド版kintone(仮称)ならではの独自機能も拡張するという。
将来的にはRSIプラットフォームとの連携をさらに強化し、オフィスから現場までの一連のワークフローをEnd to Endで業務改革支援できるソリューションへとつなげる狙いだ。蓄積したデジタルデータを分析し活用できるようなデータ連携基盤により、ユーザー企業のさらなる業務効率化および業務高度化を支援するとしている。
両社は今回の業務提携を契機に、両社間で人材交流促進を計画しているようだ。リコーの販売提案にサイボウズのエンジニアが同行するなど、これまでにない強みを発揮できる体制を目指すとのこと。リコーの山下社長は「両社の化学反応が今回のビジネス成功のキーになるだろう」とコメントして、説明会を結んだ。