スノーフレイクは4月26日、2022年度「事業戦略説明会」を開催した。社長執行役員の東條英俊氏は、前年度の業績について、「グローバルのプロダクトレベニューは11.4億ドルと前年比2倍以上を達成しており、大きな成果となった。今期も同じ水準で成長しており、好調は続いている。また、グローバルのリテンションレートは178%を達成しており、日本も同様の数値となっている」と、好調ぶりをアピールした。
続いて、東條氏は国内事業について説明した。同氏は、前年度を「ビジネス成長のFOUNDATION (基礎)を固めた一年だった」と振り返った上で、「前年にパートナーシップや社内についてしっかりと足場を固めてきたものを、2023年度は拡大していく」と語った。
同社は、グローバルレベルのデータネットワークとして、「データクラウド」を強く推し進めている。データクラウドでは、データシェアリングを使って、顧客同士のデータを結びつける。東條氏は、「これまでのデータ分析やDX(デジタルトランスフォーメーション)は一つの企業に閉じていた。しかし、今後はデータビジネスという形で、データのコラボレーションが進んでいくと考えている」と述べた。
データクラウドはプラットフォームとコンテンツから構成されるが、スノーフレイクが提供するのはプラットフォームだ。2022年度は、このプラットフォームを拡張するため、業界向けデータクラウドの拡大に注力する。これまで、「金融サービス」「メディア」「リテール」「ヘルスケア、ライフサイエンス」向けデータクラウドが発表されている。
東條氏は、「データクラウドを推進する上で、業界向けに進めていくことは重要。金融に特化したデータセットがあるように、他の業界も同様に業特有のデータセットを持っている。データに基づいた意思決定を実現するために、業界に特化したデータクラウドは必要」と述べた。
2022年度の事業戦略の2つ目の柱は「国内体制の拡大」だ。業界固有の課題を解決するために、専門性の高い業界別チームを編成するほか、新たな市場機会を開拓するグリーンフィールドチームを発足する。加えて、中部・西日本エリアの支援を強化する。
3つ目の柱である「パートナーエコシステム」に関しては、グローバルでさまざまなパートナーと提携しているが、日本の顧客向けにGo To Marketを進めていく。
4つ目の柱としては、各種プログラムを拡充する。例えば、データクラウドのビジョンを理解して体現する外部エヴァンジェリスト育成プログラム「Data Polaris」の2期、3期を開講する予定だ。同プログラムは、昨年に日本発のプログラムとして発足したものだ。
また、技術者育成を支援するプログラム「Snowflake Ascent」のパイロット版を国内で実施することが予定されているほか、フラッグシップイベント「Snowflake Summit in Las Vegas」はリアルでの開催が計画されている。同イベントはオンラインでの配信は行わないそうだ。
続いて、4月21日に発表されたヘルスケア業界において国内初の導入事例となる中外製薬から、上席執行役員 デジタルトランスフォーメーションユニット長を務める志済聡子氏が登壇した。
中外製薬は、デジタル戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の基本戦略の一つに「デジタル基盤の強化」を掲げ、各部門・プロジェクトで保有するデータの統合・利活用を推進している。
志済氏によると、デジタル基盤を強化してすべてのバリューチェーンを強化することで、生産性と効率性の向上を目指しているほか、デジタルの活用により、革新的な新薬を創出し、社会を変えるヘルスケア・ソリューションの提供を目標としているという。
中外製薬のデジタル基盤は、全社でのデータ利活用推進を目的とした、大容量のデータを安全に利用するためのIT基盤だ。同基盤では、Snowflakeなどの多種多様なDWHを利用できるとのことだ。
志済氏は、Snowflakeを評価したポイントについて、「データ共有に関してユニークな仕組みを提供しているほか、クラウドネイティブのDWHであり、AWS S3と同等のレベルの低コストで気軽にデータを保管でき、非構造化データも扱える。われわれがDWHに求めている要件を満たしていた」と語った。