スノーフレイクは12月7日・8日、「The View Ahead」をテーマに年次イベント「SNOWDAY」を開催した。本稿では、初日のグローバル基調講演の模様をお届けする。

冒頭、日本法人 社長執行役員の東條英俊氏は、「企業を取り巻く影響は大きく変化しているが、環境の変化に素早く適応するカギはデータの活用。社内外から集められたデータをもとに、現場で起きていることを分析し、これから起きることに対応することが求められている。誰もがデータにアクセスして、日々のビジネスに生かすことが必要になっている。世界では、サードバーティや外部のデータの活用が進むとともに、自社のデータを外販し、収益化が活発化している。データガバナンス、サイロ化、人材など、データを取り巻く課題はたくさんあるが、われわれのデータクラウドとエコシステムが解決を支援する。データクラウドを活用すれば、厳しい経営環境を乗り越えられる」と語った。

  • スノーフレイク 日本法人 社長執行役員 東條英俊氏

続いて、米Snowflake 共同創業者兼製品担当社長の Benoit Dageville氏が登場した。同氏は、「SnowflakeはDWHやデータレイクの役割を果たすとともに、あらゆるデータを無制限に保管し、データレイクのコア機能も提供してきた。データの種類や場所を問わず、リソース制約のない単一のプラットフォームをグローバルに展開しており、3つのクラウドサービスプロバイダー、28のクラウドリージョンを利用できる。そして開発者向けのフレームワークである Snowparkでは、SQL以外の言語としてJavaやScalaにも対応しており、外部で開発・展開されたサービスをシームレスに呼び出すことができる。データクラウドを導入すれば、データの利用は無限大だ」と語った。

  • 米Snowflake 共同創業者兼製品担当社長の Benoit Dageville氏

最新製品の詳細は、製品担当SVPのChristian Kleinerman氏が説明した。まず、Kleinerman氏はSnowparkのグローバルな環境の運用を支援する機能拡張を紹介した。

  • 米Snowflake 製品担当SVP Christian Kleinerman氏

複数のクラウドアカウント間におけるレプリケーションを実現する機能がプライベートプレビューとして公開されているほか、データレプリケーション機能の効率が向上している。同社の顧客の一社はデータレプリケーションについて、最大55%のパフォーマンスを向上しているという。同氏は「レプリケーションの向上は、可用性やリカバリなどさまざまなメリットをもたらし、55%のコストの削減にもつながる」と語った。

また、アクセス履歴ビュー(Access History)におけるリネージの視認性(プライベートプレビュー中)やオブジェクトの依存性(プライベートプレビュー開始予定)といった新機能によって、ガバナンスが拡張され、パートナーhさ自社の製品とインテグレーションできるようになるという。

続いて、Kleinerman氏はSnowparkにおける機能拡張を紹介した。同氏は、「現在、世界ではデータ主権に関する規制が強まっている一方、M&Aが積極的に行われていることから、1つの会社にデータレイクが複数存在している。われわれはこうしたトレンドを意識して、Snowflakeを開発している」と述べ、その例として、Snowparkで非構造化ファイル処理に対応することを紹介した。この機能は現在、ライベートプレビュー中だ。

さらに、Snowparkにおける大きな機能拡張として、Pythonへの対応がある。プライベートプレビュー版を提供中のSnowpark for Python によって、開発者は好みの言語でデータのコラボレーションが可能になると同時に、Snowflake プラットフォームに組み込まれているガバ ナンスやセキュリティコントロールを活用できるようになる。また、すべてのユーザーが同じデータに対して異なる言語で1つの処理エンジンにより共同で作業を行えるようになるため、データのコピーや移動が不要になる。

加えて、Anacondaとのパートナーシップを締結したことによって、Snowflakeのユーザーは同社が有するPythonのオープンソースライブラリにシームレスにアクセスできるようになり、手作業でのインストールやパッケージの依存関係の管理を行う必要がなくなった。

Snowflakeのユニークな仕組みの一つに、自社のデータを売るとともに、他社のデータを買えるSnowflakeデータマーケットプレイスがある。Kleinerman氏は「データマーケットプレイスは新規顧客や取引を増やしている」と述べたが、マーケットプレイスで提供されるデータリストは前四半期比32%増となっている。

Kleinerman氏はマーケットプレイスを利用している企業の例としてZoomInfoを挙げ、同社がデータマーケットプレイスに掲載して6週間で、年間契約額(ACV)100万ドル増を達成したことを紹介した。

2日目の基調講演では、Snowflakeのデータクラウドを利用して、自社のビジネスや周囲の世界に変革をもたらし、創造性に富んだ個人と企業を表彰するプログラム「Data Drivers Awards」の受賞結果を発表した。

「Data Drivers Awards」に選ばれたのは、サイバーエージェント、ちゅらデータ、ウェザーニューズ、データX、truestar、インテージテクノスフィアの6社。データを販売するというカルチャーが海外ほど進んでいない日本だが、Snowflakeデータマーケットプレイスを活用して、収益を上げる企業が出てきており、同社は日本企業の新たなデータ活用の側面を活性化させている。