PwC Japanグループは4月20日、気候変動のリスクや機会の財務インパクトを定量分析し、企業のカーボンニュートラル実現に向けた変革をサポートするための分析サービスである「気候変動影響の財務インパクト分析サービス」を開発し、提供を開始したことを発表した。
同サービスはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠しており、気候科学データと各業界の固有データを融合し、定量分析ツールを用いて短期間かつ高精度で複数の気候シナリオに対応する分析を実施するもの。
同サービスでは、戦略パターンに合わせて気候変動のリスクや機会を財務インパクトとして簡便に定量把握、シミュレーションし、戦略の検証や目標と戦略の乖離を是正するなど、戦略の精度を向上させることで、脱炭素施策の効果的で効率的な実行を図るという。
分析にあたっては、いくつかの財務・非財務項目を入力するだけで、あらかじめ想定された気候変動のリスクドライバーや業界構造を基にして、シナリオ別の業界需要の動向や化石燃料価格や電力価格といったコストの動向を反映し、定量評価を行う。
それぞれの数値は各企業の想定に合わせた修正を行うことも可能で、対象とするリスクドライバーや計算モジュールも要望に応じて修正・加工も可能。
ツールとして、分析の大枠をあらかじめ提示することで、分析を実施する際の工数を大きく削減するだけでなく、専門性が要求され、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)対応の中でも障壁の高いシナリオ分析の実施を支援する。
日本では、2022年4月の東京証券取引所の市場再編で、「プライム市場」の上場企業がTCFD提言に沿った開示を求められることとなり、脱炭素領域における一連の企業活動への対応要請が今後加速し、投資家から気候変動のリスクや機会が及ぼす財務インパクトの開示を一層求められることが想定されるという。