NECは4月6日、2022年10月入社・2023年4月入社の新卒採用計画を発表した。競合の日立製作所と富士通は既に新卒採用計画を発表しているので、3社の採用計画の状況をまとめてお届けしよう。

NECの採用計画

NECは2025中期経営計画の実現を目指し、多様な人材が活躍する企業への変革に注力する一環として、「適時・適所・適材」を実現するジョブ型人材マネジメント、イノベーションの源泉であるダイバーシティのさらなる加速に向けた採用計画を決定した。

同社は2023年度に全社員を対象にジョブ型人材マネジメントの導入を目指しているほか、2025年度に女性・外国人役員比率20%、女性管理職比率20%の達成を目標に掲げている。

これらを踏まえ、2022年度のキャリア採用と2023年度の新卒採用の計画をいずれも600名とし、採用比率を1:1とするとしている。キャリアの2021年度の計画数は500名、2022年度の新卒採用の計画数は550名だった。

また、新卒採用における女性比率を2023年度は40%(2022年度30%)、2024年度は50%とすることも目指している。

日立製作所の採用計画

日立製作所は3月22日、2023年度の新卒(ファーストキャリア人財)採用計画、2022年度入社の経験者(マルチキャリア人財)採用計画、ジョブ型人財マネジメントの進展に向けた採用の取り組みについて発表した。

採用人数については、前年度より経験者を100人増やし、大学・大学院・高等専門学校(以下、高専)卒業予定者600名、高等学校(以下、高校)卒業予定者50名、経験者500名、合計1,150名を採用する計画。

2021年度は技術系職種を中心に約300名の学生に「ジョブ型インターンシップ」を実施。2022年度はこの取り組みを拡大し、事務系職種(営業、人事、財務、調達、法務など)を含む新卒採用の全職種で実施するとともに、受入規模も約400名程度に拡大する。

また、各職種(各ジョブ)の代表社員を「ジョブリクルータ」と名付け、各ジョブの魅力を職場の社員自らがPRし、採用活動を行う「ジョブリクルータ制度」を導入する。

これにより、従来の人事部門や出身大学別のOB・OGを中心とした採用活動の取り組みから、人財を募集する各職場の社員を中心とした取り組みへの転換を進め、応募者のキャリアニーズとジョブのマッチングを強化する体制を構築することにより、「就社」から「就職」をより意識したジョブマッチング型の採用を実現する。

加えて、「グループ公募制度」をジョブ型人財マネジメントの仕組みに合わせた制度改訂を行っている。具体的には、社外への経験者採用を行う際に、社内においても同時に公募を行うことを必須化し、同制度の利用条件の緩和を行った。

さらに、募集を行う際は、応募するポジションのジョブディスクリプションを社内外へ同等の内容で公開する。これにより、既存社員の手挙げ意識の促進を図り、社内の人財の流動性を高めるとともに、社内外の垣根を越えた適所適財の人財配置を実現するとしている。

富士通の採用計画

富士通は3月1日、2023年度の新卒採用および2022年度のキャリア採用について発表した。2023年度の新卒採用計画は、前年度と同様に750名程度とし、また、キャリア採用は計画数を定めず、2021年度の計画数300名以上を拡大するとしている。

新卒採用は引き続き、大学および大学院の最終学年の学生と既卒者を対象に、年間を通じて応募を受け付ける通年採用を実施する。

今後、ジョブ型人材マネジメントを展開していくことを踏まえ、ジョブを起点として職種ごとに適した人材の採用をグローバルに展開し、職責や専門性の高さに応じて個別の報酬設定を含む適切な処遇にて迎え入れるとしている。

同社は3月30日、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)に関する説明会を開催し、人材戦略についても説明した。

同社は中長期的な成長に向け、人材戦略の具体的施策として「ジョブ型人材マネジメント」「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材への進化」「組織変革に向けた取り組み」を掲げている。

「ジョブ型人材マネジメント」では、新卒一括採用と長期雇用を前提とした人材マネジメントを、ジョブ型の人材マネジメントへとフルモデルチェンジを図る。今後は事業戦略に基づいた組織設計を行ったうえで、各職務に必要な資格やスキルをジョブディスクリプションにより明確化し、最適な人材を選出していく方針へと変化する

さらに、報酬体系も方針を変更する。これまでは人に基づく年次や職歴に応じた職能ベースの給与体系だったが、今後はグローバル基準の職責に応じた給与体系となる。これにより、同じ仕事を長年続けても職責が変わらない限りは給与が上がらないことになるという。

  • 富士通が目指す「ジョブ型人材マネジメント」の姿