新年度が始まった4月1日、多くの企業が入社式を開き新入社員を迎え入れた。先輩社会人として、いま一度襟を正し気持ちを新たにしている人も多いのではないだろうか。
リコーは同社の研究施設「3L」(東京都大田区)で入社式を開催し、79人の新入社員が社会への一歩を踏み出した。創業者である市村清氏の自宅のすぐ横に開設された3Lの名称は、同社の創業精神「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」の3つの愛(Love)に由来している。
リコーは2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、従来型の一堂に会して実施する集合型の入社式を中止した。オンラインでの入社式に切り替える企業も増える中、同社はむしろ「個別入社式」へと切り替えたのだ。感染症対策には十分に配慮した上で、山下良則社長が新入社員一人一人と言葉を交わす形式で実施する。
新入社員は入社の喜びを胸に、「手に取った人がわくわくするような製品を作りたい」「学生時代の研究経験をリコーでの活躍につなげたい」など、思い思いの言葉を山下社長に伝えていた。
採用面接や入社式前の交流会はオンラインで実施したため、新入社員にとっては同期入社の仲間と顔を合わせるのも、今回がほとんど初めての機会となる。新入社員は緊張しながらも、新社会人生活に胸を膨らませていたように見受けられた。なお、当日の様子は同社の360度カメラ「RICOH THETA」を使ってライブストリーミング配信され、新入社員の家族も遠隔地から視聴できたとのことだ。
新入社員と対話した山下社長は取材に対し、「たとえ配属先は違っても同じ目線で会話できるような同期の絆を作ってほしいと思う。個別入社式に変更してからは以前よりも新入社員の雰囲気やイメージを感じ取りやすくなった。緊張している人もいたようだが、皆さんの個性が見えて将来を非常に楽しみだと感じている。新入社員だからと遠慮するのではなく、先輩社員や上司とも仲間意識を持ちながら、上手にコミュニケーションを取って成長してほしい」と笑顔で話してくれた。