三菱重工グループの三菱重工エンジニアリングは、国内大手の総合化学企業、トクヤマとセメントプラント向けCO2回収実証試験に関する覚書(MOU)を締結したことを3月29日に発表した。

三菱重工エンジニアリング(当時は三菱重工)は、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術「KM CDR Process」や「Advanced KM CDR Process」の開発に取り組んできた。2022年3月現在、KM CDR Processを用いたプラントを13基納入しており、現在さらに3基を建設中としている。

このような実績を持つ三菱重工エンジニアリングだが、稼働中のセメントプラントにおける実証試験は初の試みだという。

今回の実証試験は、トクヤマが山口県周南市で稼働中の既設セメントプラントにおいて、三菱重工エンジニアリング独自のCO2回収技術を活用し、排ガスからのCO2回収を行うもので、実証期間は2022年6月から9ヵ月間を予定している。

実証を通して長期連続運転の信頼性評価を行うとともに、回収した不純物などのデータを分析し、セメントプラントにおける最適なCO2回収技術の適用性を検証するとしている。

実用化に向けた分析や評価を行うことで、セメント分野でのCO2回収ビジネスが早期に実現可能となり、同分野における脱炭素化に向けた課題解決に貢献していくとのことだ。

  • 実証試験に用いる小型CO<sub>2</sub>回収装置

    実証試験に用いる小型CO2回収装置(出典:三菱重工)