日本ネットワーク技術者協会は3月23日、「IPv6検定基礎試験」と「IPv6検定応用試験」を実施することを発表した。今回、IPv6アドバイザーとして招聘された国内のIPv6有識者である小川晃通氏と同協会の代表理事を吉政忠志氏に話を聞いた。

小川氏は、著書に『プロフェッショナルIPv6』『インターネットのカタチ』『マスタリング TCP/IP OpenFlow 編』『徹底解説v6プラス』(ラムダノート発行)などがあり、RFC 3189、RFC 3190の共同著者でもある。

『プロフェッショナルIPv6』は書籍は5500円で販売されているが、PDF形式であれば無料でダウンロードできる。小川氏によると、第1版と第2版で10万以上ダウンロードされており、さらに、コピー利用も可能としていることから、もっと利用されていることが予想されるという。

  • 小川晃通氏

同試験を開始する背景について、同協会の代表理事を吉政忠志氏は次のように説明した。

「エンタープライズ環境におけるIPv6のデプロイについて紹介しているRFC 7381では『IPv6 はIPv4 よりもセキュアというわけではない』という章があり、その章ではIPv6 がIPv4よりセキュアというわけではないと明記されている。そしてIPv6 にとって最大の脅威は、セキュリティを確保しながら運用できる経験者が不足していることであるとも記載されている。また、IPv4とIPv6はまったく別なものであり、ここを理解することも必要。こうしたIPv6の専門知識を備えたネットワークエンジニアを育成する機運を高めるべく、IPv6検定を立ち上げることにした」

  • 日本ネットワーク技術者協会 代表理事 吉政忠志氏

小川氏のIPv6に関する著書のダウンロードが10万を突破していると前述したが、Googleの公開統計データによると、2022年3月18日現時点で、IPv6の普及率は45.35%に達しているという。

小川氏は、IPv4とIPv6の違いについて、「v4とv6の名前空間が一つであるため、ユーザーには同一のネットワークに見えている。しかし、両者に互換性はなく、中身は違う。IPv6の最大の特徴は128ビット数と4倍に増えており、空間がかなり大きくなっていること」と語っていた。

IPv6基礎検定は初級ネットワークエンジニアとネットワークの運用管理担当者を対象としており、IPv6の基礎的な知識を問う内容となっている。主教材は、小川氏が著者の『プロフェッショナルIPv6』だ。出題対象は、IPv6プロトコルとその周辺技術、DNSとIPv6、IPv4/IPv6共存技術などだ。試験は全国300か所のCBT-Solutionsテストセンターで行われる。

  • 「IPv6基礎検定」の例題

2022年10月にベータ試験(ペーパー試験)を開始し、2023年3月本番試験開始する予定としている。ベータ試験の参加者には記念品として、オリジナルTシャツをプレゼントするという。