Denodo Technologiesは3月3日、説明会を開催し、創設者兼CEOのアンヘル・ヴィーニャ氏が、2021年度の業績や2022年度のグローバルの事業方針などについて説明した。国内の事業戦略については、営業本部長の中山尚美氏が説明を行った。

ヴィーニャ氏は2021年の業績について、「年間成長率は前年比にして50%増を達成、売上継続率も108%、解約率も4%と好調だった。これは、データ管理製品ベンダーの中では突出した財務状況と言える。また、顧客は1000を超えており、質の高いカスタマーの維持と拡大を続けている」と語った。

  • Denodo Technologies 創設者兼CEO アンヘル・ヴィーニャ氏

ヴィーニャ氏は、同社に関連する市場として、データ統合、iPaas、データ管理、データファブリックを挙げ、これらの市場規模を合算すると300億ドルに達することを示し、「われわれは論理データファブリックを実現できる唯一の企業であり、300億ドル規模の市場に参入するポテンシャルがある」と述べた。

またヴィーニャ氏は、ガートナーによるデータ統合ツールベンダーの評価を引き合いに出し、データ仮想化機能において満点のスコアを獲得しているのは同社のみであることを示した。

加えて、ガートナーがまとめたデータ統合ベンダーの収益ランキングにおいて、同社は2番目に高い収益成長率を達成している。収益成長率第1位のクリックの数字には買収した企業の数値も含まれているとのことで、ヴィーニャ氏は「本業のオーガニックな成長では、われわれが一番の成長率を達成している」と、自信を見せた。

  • データ統合ベンダーTop10で高い収益成長率を示したDenodo

さらに、ヴィーニャ氏はフォレスターの分析をもとに、同社のプラットフォームを活用したデータ仮想化の経済性を示した。具体的には、Denodoのプラットフォームを利用すると、収益化までの時間は83%削減、データの準備にまつわる労力を67%削減、ETLを介した配信までの時間と比べて65%削減といったことが実現されるという。コストに関しても、690万ドルの利益、40%のROIを得られるという結果が出ている。

2022年度のビジネス戦略として、ヴィーニャ氏は以下を挙げた。

  • データ統合・データ管理カテゴリーにおいてリーダーシップを維持
  • 大規模な研究開発投資によりデータ仮想化のイノベーションをリード
  • PaaSおよびSaaSオファリングでクラウドへの浸透を拡大
  • ダイレクトおよびパートナービジネスの両輪による世界中の顧客ベースの急速な拡大
  • 成長率50%という、データ統合のリーダーの中で成長しているベンダーのステータスを維持
  • 人員を増大してプレゼンスを拡大しつつも収益性を維持

プロダクト戦略としては、小さな部門レベルが導入できる製品から企業全体の展開のための自動化・コラボレーション・高度なセキュリティを提供する製品まで提供することで、「Start Small and Grow Big(小さく始めて、大きく成長)」を掲げる。

ヴィーニャ氏は「他のデータ管理のベンダーは元のデータシステムから新しいシステムに移行するというアプローチをとっている。これに対し、われわれは抽象化レイヤーを介してデータを開示できる論理ファブリックを提供している。なぜ論理的なアプローチの優位性を強調するかというと、企業がデータ統合の実現において求めているデータのガバナンス、セキュリティ、セルフサービスを実現する上で、論理的なアプローチはすぐに実現できるからだ」と、あらためて同社の独自性を強調した。

続いて、中山氏が国内の事業戦略について説明を行った。同氏は、「年間成長率が前年比50%増を達成しているグローバルと同様、日本も売り上げも前年比約2.7倍と、アグレッシブな成長を遂げている」と語った。

  • Denodo Technologies 営業本部長 中山尚美氏

2021年は、10社以上の新規顧客、3社の新規パートナーを獲得したという。中山氏によると。新規顧客は製造業が最も多かったそうだ。リソースの拡大も図り、社員数は前年比の1.5倍となったが、採用が間に合わなかったとのことで、2022年も採用は続けていく。

2022年の事業戦略の柱は、「新規顧客の獲得」「既存顧客の支援強化」「パートナーとの協業強化と新規パートナー獲得」「採用強化」となる。これらの施策について、「高度かつ幅広いデータ活用に対するニーズが多く、企業の変革を支援していきたい。新規顧客の獲得に加えて、既存のお客様の支援も強化していく。そのために、カスタマーサクセスチームを強化し、導入後のサポートをより手厚くする」と中山氏は説明した。

  • Denodo Japanの2021年の業績と2022年の事業戦略