富士通、東北大学災害科学国際研究所、東京大学地震研究所、および川崎市は3月3日、同月12日に行われる川崎区総合防災訓練において、スーパーコンピュータ「富岳」の津波シミュレーションを用いて構築したAI(Artificial Intelligence:人工知能)による高解像度かつリアルタイムな浸水予測データを活用する避難の実証実験に取り組むと発表した。

今回の実証実験は、富士通が開発した専用のスマホアプリを通して、スーパーコンピュータ「富岳」で構築したAIによる津波浸水予測情報を避難訓練参加者に配信するものだ。その際に、AIによる予測情報の不確実性などについて本実証実験の事前説明を受けた参加者(災害情報リーダー)には、AIが予測する津波到達時間や浸水の高さなどの詳細な情報が配信される。ほかの参加者には、自身の現在地に浸水予測が出ていることを示すテキストメッセージが届く。

避難時には、災害情報リーダーがコミュニティ内の参加者の現在位置を確認し、逃げ遅れている参加者にスマホアプリのメッセージ送信機能を使って注意喚起を行う。これにより、コミュニティ内の情報共有を活性化させるとともに、参加者が一丸となって協力し合う安全かつ効率的な避難を目指すとのことだ。

  • 実証実験におけるコミュニティ型避難のイメージ

今回富士通が開発したスマホアプリは、富岳による津波浸水予測情報を到達時刻や波の高さに応じて色別に表示する「詳細モード」と、「AIがこの地域の津波浸水を予測しています」といったテキストのみを表示する「シンプルモード」の2種類の機能を備える。

また、地図上でコミュニティメンバーの位置を確認し、コミュニティ内への呼びかけができるメッセージ送信機能も搭載する。加えて、避難経路上の通行困難地点の情報を投稿して共有する機能や、避難所に集まった人数をリアルタイムにシェアする機能も持つとのことだ。

  • コミュニティ型避難を後押しするスマホアプリ画面のイメージ