日立製作所、SBテクノロジー、東京大学、日本電気、富士通、国立情報学研究所、NTTデータ、JIPテクノサイエンスら8団体は2月28日、分野間データ連携基盤技術およびその中核機能のソフトウェアツールとなる「コネクタ」と、データの取得方法やデータの内容を管理するデータカタログの横断的検索機能を開発したことを発表した。
また、今回開発した分野間データ連携基盤技術の有効性を検証するために、交通分野や観光・旅行分野などの複数分野においてデータ利活用の実証を開始する予定だ。これらの実証においては、複数の分野にまたがるデータの取得をはじめ、データカタログの作成やデータ交換、データ来歴管理などの検証結果を知見として蓄積し、分野間データ連携基盤技術の社会実装実現に向けた取り組みを進める。
なお、今回の開発は2018年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理法人として運営を支援する、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期」で採択された「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」の研究開発の一環だ。
近年は、政府が主導するSociety5.0によって、国や地方公共団体、民間企業などが分散して保有するデータを連携し、新たなサービスやビジネスの創出などを通じた民間企業の競争力強化や行政サービスの高度化が求められている。
しかし産官学のさまざまな分野のデータ連携においては、データカタログに記載される情報の表記が統一されていないなど相互運用の観点で課題が残っている。そこで今回、8団体は産官学で形式が異なるデータカタログを共通化させさまざまな分野のデータ利用者と提供者をつなぐインタフェース機能である「コネクタ」を開発したという、
これにより、これまで課題であったデータの取得方法や、データカタログに記載される情報の表記が統一され、データ利用者はデータ提供者と個別に調整をする必要がなくなるため、効率的なデータ利活用が可能となる。さらに、「コネクタ」はデータの各分野にまたがる横断的検索など独立した中央集中型サービスとの連携も可能だ。
加えて、8団体は今回開発した分野間データ連携基盤技術の社会実装に向けて、交通や観光・旅行など複数分野で実証を開始する予定だ。交通分野では、地方公共団体が保有するEV公用車のデータを取得し、地方公共団体の環境や交通施策におけるデータ活用の実効性を確認する。
また、観光・旅行分野では地理空間情報の活用を中心として、航空情報や気象情報、周辺の交通情報を組み合わせて空港内の人流情報を可視化し、旅客などに対し商業施設への効果的な誘導が可能かを検討するという。