欧州データ保護監察機関(EDPS: European Data Protection Supervisor)は2月15日(現地時間)、「Preliminary Remarks on Modern Spyware - Europian Data Protection Supervisor [PDF]」において、現代のスパイウェアがプライバシーとデータ保護に関して深刻な問題を提起したと指摘するとともに、欧州連合(EU: European Union)におけるこうしたスパイウェアの開発および使用を禁止することが望まれると指摘した。今後、EU各国はEDPSの意見を尊重した動きを取っていくものとみられる。

  • Preliminary Remarks on Modern Spyware - Europian Data Protection Supervisor

    Preliminary Remarks on Modern Spyware - Europian Data Protection Supervisor

EDPSは報告書の中で特に「Pegasus」と呼ばれるスパイウェアを引き合いに出してその危険性を指摘した。Pegasusはこれまでに開発されたスパイウェアの中でも特に強力なツールであり、イスラエルのNSOグループによって開発され世界中で販売・利用されている。Pegasusは、スマートフォンのすべてのセンサーと情報にアクセスしてデバイスを24時間稼働する監視デバイスに変えることができると説明されている。

EDPSは「こうしたツールは基本的権利と自由を守るための既存のセーフティーガードシステム全体を考え直す必要があるもの」とその影響の深刻さを指摘するとともに、現段階ではプライバシーやデータ保護といった基本的権利と自由を守るために、EUにおけるPegasusまたはそれに類する機能を備えたスパイウェアの開発および使用を禁止すべきだとの意見を述べている。

EUに限らず、Pegasusがもたらす影響はほかの国でも懸念として挙げられており、今度、世界各国でどのような動きが進むかが注目される。