高砂熱学工業とオートデスクは、設備業界のBIM(Building Information Modeling)システム標準化に向け、両社が戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結したことを2月17日に発表した。
高砂熱学 取締役 CDXOの横手敏一氏はMOU締結の背景について「建設業界は、労働人口減少や、2024年度の時間外労働上限規制適用への対応が求められている。また、世界的な環境意識の高まりから、環境に配慮した建物の需要が高まっている。高砂熱学はこれらの社会的環境変化をうけ、“TAKASAGO DX”として基盤事業のDX化に取り組んでおり、BIMをDX戦略の重要戦略と位置付けたことから、オートデスクとの連携を決定した」という。
連携内容は、オートデスクがサポートする建設業企業約105社が参加する「Revit User Group」の活動に高砂熱学が参画し、建設業界全体の標準化に協力するとともに設備工事におけるBIMデータの標準化に取り組むことや、オートデスクが提供するBIMソフト「Revit」を活用し、すべてのデータを一元管理することで、建物の見える化による建物ライフサイクルマネジメントを実現していくことなどが含まれている。
オートデスクのRevitを選定した理由について高砂熱学は「世界的シェアがあるため、国際事業の強化につなげられることや、プラットフォームがオープン化されているため、データを加工しやすく、働き方改革、社員とのエンゲージメントに寄与するという期待を感じた。他の設備業者との連携も考慮に入れ、Revitの選定に至った」とした。
上記に加え、高砂熱学では、オートデスクの建設業向けプロジェクト管理クラウドサービス「Autodesk BIM 360」やクラウド開発プラットフォーム「Autodesk Forge」やBIツールなどを活用し、業務の効率化・品質の向上を促進していくという。
また、BIMによる施工計画のフロントローディングと、高砂熱学のプラットフォーム「T-Base」による「施工のオフサイト化」によって現場の負荷軽減・省資源を推進していくとともに、Autodeskが持つ先進的な海外の事例・技術の情報を参考にしながら、脱炭素化支援を目指していくとした。
高砂熱学 代表取締役社長 COOの小島和人氏は「2023年に100周年を迎える高砂熱学だが、これまで空調事業をもとに培ってきた技術で、再生可能エネルギーの有効活用や省エネといった、地球規模の課題であるカーボンニュートラルの分野への挑戦を加速している。オートデスクの技術や知見をもって、カーボンニュートラル領域への挑戦のさらなる加速と、BIMを通して建設業界を魅力あるものにしていきたいと考えている」と戦略的提携に関しての抱負について述べた。