日本オラクルはこのほど、アフターサービスにおけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する説明会を開催した。モノからコトへと消費者のニーズが変化する中、企業にとって、ビジネスを拡大する上で顧客の体験価値を高めることがカギとなっている。

執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部 桑野祐一郎氏は、「新型コロナウイルスによってビジネスが変わった。対面から非対面に購買行動がシフトしたこと、リカーリング・ビジネスやサブスクリプション・ビジネスが加速したことで、カスタマー・エクスペリエンスの重要性が高まっている」と語った。

  • 日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 CXクラウド事業本部 桑野祐一郎氏

さらに、桑野氏は「一様なサービスを提供している時代ではない。パーソナライズされたアフターサービスの提供が求められている。BtoCで提供しているサービスがBtoBのサービスにも必要になってきている」と述べた。

こうした背景の下、企業はサービス提供を収益源として確立し、ビジネスにおいて、競合との差別化が必要となるという。例えば、Gartnerは「2025年には、機器メーカーの50%以上が成果(アウトカム)ベースのサービス契約を提供するようになる」と予測している。

このように企業がサービスの収益化を実現するため、オラクルは「パーソナライゼーション」「サービスの多様化」「as a service」を柱として、支援を行っている。

昨今、消費者のニーズが多様化している中、すべてのニーズを満たすサービスを提供することは不可能に近い。しかし、桑野氏は「顧客ニーズが細分化されることは、企業に負担ばかり強いるものではない。場合によっては、セルフサービスを増やすよい機会となり、企業側にも恩恵を享受できる仕掛けや仕組みが重要になる」と指摘した。

企業が取り組める仕掛けとしては、遠隔サポート、拡張現実を使ったサポート、部品のサポートなど属人化している業務の自動化などが考えられるという。

  • オラクルがアフターサービス事業を支援する際の3つの柱

続いて、 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング事業本部 竹内尚志氏が、アフターサービスのDXを支えるオラクルのソリューションについて説明した。

  • 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 CXソリューション・エンジニアリング事業本部 竹内尚志氏

オラクルは、アフターサービスのDXを支援するソリューションについて、Oracle Service Logistics Cloudとして、6つの柱からなるフレームワークを定めている。6つの柱とは、「サービス・リクエストおよびケース管理」「契約、保証、サブスクリプション管理」「フィールド・サービスの計画と実行管理」「サービス在庫および物流管理」「デジタル・プロモーションおよび注文管理」「請求と入金の管理」だ。

  • アフターサービスのDXを支援するソリューションのフレームワーク

「サービス・リクエストとケース管理」は、「Oracle Service / Oracle Intelligent Advisor」「Oracle IoT Cloud Service」が担い、「サービスセンター受付」「問診型アドバイザー/ルールエンジン」「IoTセンサーからのインサイト」を行う。

「契約・保証・サブスクリプション管理」は「Oracle Subscription Management」が担い、「柔軟な課金モデル設計と請求エンジン」「サブスクリプション契約管理」「保証サービス」を機能として提供する。

「フィールドサービス計画と実行管理」は「Oracle Field Service」が担い、「フィールドサービス要員の管理」「フィールド作業の支援」「モバイル機能」を提供する。

「サービス在庫・物流管理」は「Oracle Supply Chain Management」が担い、「サービス部品の管理」「返品の配送および処分の管理」「サービス料金・返品費用・収益性」を提供する。

「デジタル・プロモーション・注文管理」は「Oracle Marketing」「Oracle Commerce / Oracle Sales / Oracle CPQ」「Oracle Content Management」が担い、「カスタマー・データ・プラットフォーム」「パーソナライズされたカスタマー・エクスペリエンス」「デジタル・コマース・ポータル」といった機能を提供する。

「請求と入金の管理」は「Oracle Cloud ERP」が担い、「請求アイテムの決定と請求書作成」「保証範囲の決定と相殺金額の計算」「売掛金管理と集金」を行う。

竹内氏は、「人とプロセスの境界をなくすため、われわれは統合することを掲げている。統合プラットフォームにすることで、管理するベンダーが減る。ただし、既存のシステム、業務プロセスを維持することも認識している。そのため、最適化すべき領域を特定して、新しい機能を段階的に導入していく段階的なアプローチを勧めている」と説明した。

また、竹内氏は「アフターサービスの領域は、さまざまな人とプロセスと連携して動かなければいけない。そのため、オラクルのような統合プラットフォームを導入する必要がある。また、われわれのソリューションは、クラウドベースなのでスケーラビリティがあり、段階的に入れ替えていくことが可能だ。そして、われわれはIaaSもSaaSももっているため、ソリューションを修正する時、どこを行えば最も良いのかを判断できる」と、アフターサービスの支援における同社の強みをアピールしていた。