Googleは1月19日(米国時間)、クラウド型グループウェアサービス「G Suite」の無償版の提供を2022年7月1日をもって完全に停止することを発表した。これに対し、既存のユーザーにGoogleが提示した選択肢は、Google Workspaceの有償版に移行するか、ツールを使って一部データを書き出した上でアカウントを失うかのいずれかしかなく、多くの反発の声が上がっていた。この反発を受けて、Googleは無料でデータを移行可能な第3の選択肢の提供を決めたようだ。

無償版G SuiteからGoogle Workspaceへの移行に関する次のヘルプページには、既存ユーザーが選択できるオプションについての情報がまとめられている。

1月28日現在、このページのFAQセクションには、先週時点ではなかった「If I don’t want to upgrade to a paid subscription, can I transfer my data?」という項目が追加され、次のような内容が回答されている。

「今後数カ月の間に、Google Workspace以外の有料コンテンツとデータの大部分を無償で移行できるオプションを提供する予定です。この新しいオプションには、カスタムメールやマルチアカウント管理などのプレミアム機能は含まれません」

  • ヘルプページのFAQセクションに追加された項目

    ヘルプページのFAQセクションに追加された項目

無償版G Suiteは、Google Workspaceを無料で利用できるプランにあたるが、2012年以降は新規登録時に無料プランを選べないようになっていた。ただし、2006年から2012年に登録したユーザーに対しては、引き続き無料プランのままで利用する選択肢が残されていた。Googleが2022年1月19日に発表した方針は、この無料プランを完全に終了するというものだ。

既存の無償版G Suiteユーザーが引き続きアカウントを利用したければ、2022年5月1日までにGoogle Workspaceの有償版にアップグレードする必要がある。その後2022年7月1日までは新しいサブスクリプションを無料で利用できるが、それ以降は通常の利用料金がかかることになる。

有償プランにアップグレードしない場合は、アカウントが終了する前に、データエクスポートツールを利用して一部のデータをエクスポートすることができる。ただし、このエクスポートツールで書き出せるデータは限られており、該当するG Suiteアカウントで購入した本や動画、音楽、アプリなどのデータのエクスポートには対応していないという問題がある。

Googleが数カ月以内に提供するとした新しいオプションは、この2つの選択肢に納得できないユーザーに対する救済処置になりそうだ。ただし、具体的な移行方法などはまだ明らかにされていないため、詳細は続報を待つ必要がある。