NTTデータ東北とNTTデータ経営研究所は1月20日、福島県郡山市の協力の下で「要介護認定事務の円滑な実施に係る調査研究事業」に関するICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)利活用に関する実証実験を開始すると発表した。
今回の実証は、要介護認定事務に関する訪問調査および認定調査票作成業務や、調査票確認業務、一次判定システムへの調査票取込み業務などに対して、ICT利活用による効果を検証するものだ。2022年4月以降に結果報告を予定している。
後期高齢者の増加に伴って要介護認定者数の増加が見込まれる一方で、認定調査員や事務職員などの保険者は不足しており業務負担が課題である。また、要介護認定事務の効率化は、保険者だけでなく被保険者にとっても認定結果の早期通知といった効果が期待される。
郡山市は2021年3月から、NTTデータ東北が提供している要介護認定事務支援AI(artificial intelligence:人工知能)サービス「Aitice(アイティス)」を使用しているが、今回の実証ではさらなる業務効率化に向けてICT利活用の方策を見出す狙いがあるという。
同実証では要介護認定事務における3つの業務におけるICT利活用を検証する。1点目はタブレット端末を活用した訪問調査および認定調査票作成だ。従来は訪問調査で聞き取った内容をメモに残し、事務所に戻ってから調査票の書き起こしを実施していたという。この業務をタブレットに置き換えることで、業務の効率化とペーパーレス化の効果を検証する。
2点目はAIを活用した調査票の整合性確認である。現状は調査員が作成した調査票の内容を事務員が目視確認している。この作業をAIが代替することで業務の効率化が可能かを確認する予定だ。
3点目は調査票のシームレスな一次判定システムへの取り込みだ。これまでは紙の調査票をOCR(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)で読み取ることで一次判定システムに取り込んでいたが、同実証では調査票の記録内容をOCRを介さずに電子データとして流通させるという。一次判定システムとのシームレスなデータ連携によって業務フローを効率化できるのかを検討する。