ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)は12月20日、2022年度の事業方針に関する説明会を開催した。初めに、代表執行役員社長 望月弘一氏は2021年度の業績について説明した。
2021年度は、いずれも前年度と比べて、受注が16%増、売上が3%増、営業利益が25%増と好調だった。望月氏は、「業績の目標として、コア事業の安定成長、成長事業の飛躍的成長、これらの事業のサービスへの転換を柱としているが、いずれも達成できた。成長事業であるエッジ、HPC、AIは受注が二けた成長を遂げた。As a Serviceも前年比の受注が61%増えており、特筆すべきは 新規顧客が増えていること」と説明した。
望月氏は、「われわれは市場のメガトレンドに呼応するために活動している」と述べ、トレンドとして「エッジ」「クラウド」「データ」を挙げた。同氏はこれらのトレンドについて、次のように語った。
「90%を超える企業がクラウドを使っているが、ポイントは2つある。1つは、企業がクラウドを利用する上で相互の環境間の連携やデータの可搬性といった課題を抱えていることだ。もう1つは、企業の70%のアプリはクラウドの外側にあるが、企業はこれらのアプリをクラウドとして利用したいと考えている。また、5GやIoTの広がりにより、データは増えていくが、現状として、企業は所有するデータのうち、4分の1しか使えていない。企業にとって、いち早くデータにアクセスして、できるだけ多くのインサイトを引き出せるかが重要」
こうした課題を解決するため、HPEは「EDGE-TO-CLOUD COMPANY」を戦略として掲げ、それを実現するプラットフォームとして、「HPE GreenLake」を活用していく。
望月氏は、「2021年度はプラットフォームの提供を通じて、DXに貢献することを目標としていたが、2022年度は5G/IoT、ハイブリッドクラウド、データ&AI、デジタル・ワークプレースという4つの領域にフォーカスしてこの目標を発展させていく」と述べた。
その中で、「データファーストモダナイゼーションを前面に出すこと」「持続可能な社会に貢献すること」「4つの領域を網羅した提案をすること」に注力していくという。「昨年の経験で、5G/IoT、ハイブリッドクラウド、データ&AI、デジタル・ワークプレースという4つの領域が連携するシーンが増えている。データファーストモダナイゼーションを4つの領域で現実的なものにしていく。そして、テクノロジーによって持続可能な社会の実現を目指す」(望月氏)
そして、望月氏は他社に対するアドバンテージを4点挙げた。1つ目のアドバンテージは、幅広いテクノロジーをエッジからクラウドまでさまざまな場所で提供できることだ。ここに、他社のテクノロジーも含めて提供できるのも強みだという。
2つ目のアドバンテージはセキュリティだ。望月氏は、現在はゼロトラストセキュリティが当たり前となっているが、同社が提供しているゼロトラストセキュリティ製品「Aruba ESP」「Project Aurora」の認知度を高めていきたいと述べた。
3つ目のアドバンテージは、アドバイザリーや運用に加えて、ファイナンシャルサービスを持っている点だ。4つ目のアドバンテージは「すべてをラッピングして、クラウドとして提供できること」だ。望月氏は「ファイナンシャルモデルというだけでなく、Web上でオーダーして 全体の最適化を可能にするサービスポータルを提供する。その価値を訴求していく」と語った。
さらに望月氏は強調したいことについて、5G/IoT、ハイブリッドクラウド、データ&AI、デジタル・ワークプレースという4つの領域において、「HPE GreenLake」を提供し、As a Serviceとして提供していくことで、「すべてを真の意味でクラウドとして提供する」と述べた。
もう1つ強調したいこととして、「パートナーとの協業」が挙げられた。サーバ、ストレージ、ネットワーク機器に加えて、HPCソリューション、エッジソリューション、「HPE GreenLake」もパートナーに販売してもらい、さらには、HPEのソリューションとパートナーのソリューションを組み合わせて提供していくなどして、エコシステムを構築していくという。
持続可能な社会に貢献するための取り組みとしては、将来のテクノロジーに対するニーズを持続可能的に満たしていくための取り組み「HPE LIVING PROGRESS」が紹介された。
「循環型低炭素社会への移行をリード」「人と社会への投資」「誠実で責任をもった企業運営」という3つの柱から成る個の取り組みを実践することで、SDGsの17の項目に関わっている。