十文字学園女子大学(十文字女子大)と京都府立医科大(KPUM)は12月2日、アレルギーモデルマウスを用いて、野菜や果物に含まれる色素のリコピンを摂取することで食物アレルギー疾患の抑制メカニズムを解明したと発表した。

同成果は、十文字女子大 食品開発学科の後田ちひろ助手、KPUM大学院 医学研究科 医療フロンティア展開学(消化器内科学併任)の髙木智久准教授、KPUM 生体免疫栄養学講座の内藤裕二教授らを中心とした、カゴメ、石川県立大学の研究者も参加した共同研究チームによるもの。詳細は、小児の免疫不全とアレルギー性炎症性および感染性疾患に関する学術誌「Pediatric Allergy and Immunology」にオンライン掲載された。

食物アレルギーには小児患者も多く、死に至ることもあるため予防と治療にも安全性が求められる。これまでの研究から、「制御性T細胞」(Treg細胞)が食物アレルギーを減弱する免疫細胞として知られているほか、ビタミンAの代謝産物である「レチノイン酸」がTreg細胞の分化を促進させることも報告されている。

このことから、体内でビタミンAに変換されうる前駆体であり、野菜や果物に含まれる黄色、オレンジ、赤などの色素である「カロテノイド」の摂取が望ましいと考えられるが、カロテイノイドのTreg細胞に対する作用はよくわかっていなかったという。

そこで研究チームは今回、マウスにカルテロイド類を与える実験で評価を実施。カルテロイド類であるリコピン、β-カロテン、アスタキサンチン、ルテインを含む食餌を4週間与え、大腸粘膜内のTreg細胞の評価実験を行った結果、リコピンのみがTreg細胞数を有意に増加させることが判明したほか、マウス脾臓より単離した「ナイーブCD4T細胞」にリコピンを添加したところ、Treg細胞への分化が促進されることが確認されたという。

そこで、食物アレルギーモデルマウスを作成し、リコピン摂餌による影響を調査したところ、大腸粘膜内のTreg細胞の数が有意に増加し、アレルギー症状が軽減されることが確認されたとするほか、食物アレルギー発症時に増加するサイトカインであるIL-4、IL-9、およびIL-13の大腸粘膜内の発現を調べたところ、リコピン摂取によって有意に減少していることが判明したという。

特に、IL-9は食物アレルギー発症に重要な役割を担う肥満細胞の増殖を誘導することが知られているが、リコピン食餌により大腸粘膜の肥満細胞数が有意に減少していることも確かめられたという。

今回の研究成果は、リコピンが制御性T細胞分化を誘導し、食物アレルギー症状を抑制する可能性があることを示すものであると研究チームは説明するほか、制御性T細胞はアレルギー疾患のみならず、多くの自己免疫疾患にも関与していることが知られていることから、今回の成果はリコピンを用いたアレルギー疾患予防・治療だけでなく、そのほかの多くの自己免疫疾患に対する治療戦略構築に対して有用な情報となることが期待されるとしている。

  • アレルギー

    リコピン摂取によるアレルギー症状の抑制作用に関する概略 (出所:プレスリリースPDF)