MM総研は11月25日、「小中学校のGIGAスクール端末の利活用動向調査」を発表した。これによると、授業でGIGAスクール端末を毎日利用している生徒は20%であり、自治体の63%がGIGAスクール端末の利用頻度向上に課題を感じていることが分かった。
同調査は同社が2021年10月に、市区町村が設置する教育委員会1740団体に対して、2020年度に小中学生に1人1台整備したGIGAスクール端末の活用状況について電話アンケートにより尋ねたものであり、対象の65%にあたる1136団体から回答を得た。なお、主要なヒアリング対象者は、各自治体の教育委員会において学校の教員などに対して利活用を推進する指導主事。
授業でのGIGAスクール端末の利用頻度について、「毎日活用している」と回答した自治体は307団体であり、生徒数に換算すると約102万人と同社は推測する。最も多い回答は「週に2~3回程度」(40%)だった一方で、教育委員会が授業での利用頻度を把握していないという回答が37%に上った。
端末の利用頻度向上に向けた課題の有無を聞くと、課題ありが63%、課題なしが37%だった。具体的な課題では、「教員のICTスキルに課題がある」が41%と最も多く、「教員の意識に課題がある」が13%で続く。しかし、ICT活用研修を継続的に実施できている自治体は54%に留まり、全く実施できていない(「検討中」「まだ考えていない」「必要ない」など)という自治体も1割弱あった。
通信環境の整備に関して、授業などでGIGAスクール端末を一斉にインターネット接続する際の通信環境に「課題あり」とする回答が44%にのぼり、課題として「特定の人数を超えて一斉に端末を利用すると接続できない、接続しにくくなる」と挙げる回答が68%を占めた。
今後さらに授業で端末やインターネット、クラウドの利用を進めるには、安定した通信環境の構築が必要になると推測されているが、こうした課題解決のために予算を確保できている自治体は9%にとどまり、予算化を計画している自治体も15%に過ぎず、残る7割以上の自治体は予算化のめどさえ立っていない。
現場で利活用を推進する指導主事は課題ありと考えているが、ICT整備担当者が課題を認識していない自治体が20%存在することから、こうした温度差をなくし、現場の声を環境整備・改善につなげていく取り組みも必要だと同社は指摘している。