MM総研は4月27日、2021年3月末時点の「高校版GIGAスクール構想における端末配備状況と活用意向」と題する調査結果を発表した。

  • 保護者が期待する1人1台端末の種類と教育委員会の端末調達方針

    保護者が期待する1人1台端末の種類と教育委員会の端末調達方針

この調査は、47都道府県の教育委員会(40団体)、高校教員(1,196人)、高校生世帯の保護者(11,000人)を対象にアンケートを実施したもの。

その結果、保護者が希望する「1人1台用端末」は、「パソコン」が54%、「スマホ」は5%という回答であったが、40都道府県のうち6教育委員会が生徒の「私物スマホ」の利用を検討していることが明らかとなった。

生徒用端末1人1台化については、教員の74%、保護者の82%が高校における1人1台端末を利用した授業について「賛成」している。一方で回答を得た40都道府県のうち、台数を回答した37団体の公立高校における端末配備率は44%となった。

  • 生徒用端末1人1台化についての賛否

    生徒用端末1人1台化についての賛否

高校における1人1台端末の選定については、教員の83%が「自治体または学校が選定に関与すべき」、保護者の86%が「学校が関与すべき」と回答。自治体や学校が関与すべき理由として、保護者は「学校に適切な端末を選択してほしい」(64.4%)、「端末を割安に購入できる」(54.9%)、「端末スペックの違いによって子供の学習機会格差が生じることを防げる」(39.9%)との回答している。

1人1台端末の費用負担については、19都道府県が「保護者負担」を利用もしくは検討し、うち10団体が機種指定のない私物端末の持ち込みを、3団体は保護者負担としつつ学校指定購入機器の持ち込みを実施もしくは検討している。

  • 1人1台端末の選定者

    1人1台端末の選定者

学校や自治体が機種を指定するべきかどうかについて、教員からは「端末の選定は学校や自治体に任せて欲しい。端末は手段であって目的ではない」、「スマートフォンでは授業は困難」、保護者からは「教科書と同じ考え。教材になるので統一した方がいい」、「自分たちではどの端末がいいか判断しかねる」という意見が寄せられた。

生徒1人1台端末の費用負担について、教員の53.1%が「政府や自治体の全額負担が望ましい」と回答し、一部負担も合わせると教員の74.1% が政府や自治体に何らかの支出を望むと回答した。保護者においても、負担できる金額は「年間1万円未満」の声が最も多く35.3%、次いで「0円(負担できない)」が28.9%となった。

MM総研執行役員の中村成希氏は、次のようにコメントしている。「大勢として、何らかの家庭支出を含めても1人1台環境を支持するという調査結果は、保護者が教育のデジタル化に期待を寄せていることの裏付けであろう。加えて端末選定に自治体や学校の積極的関与を望む声も大きい。都道府県は、1人1台環境の整備に国や自治体に加え家庭支出も含め効率的に一括購買するBYAD(Bring Your Assigned Device)の採用も視野に入る。検討している配備モデルが、情報活用能力の向上など期待に沿う姿かを確認し、グランドデザインを重視する必要があろう」