リアルとデジタルを融合し、世界に一つの旅を提供 - 西武

同社の顧客として、西武ホールディングスと日本IBMの講演が行われた。西武ホールディングスでは、パーソナライズされた旅行を提供していくため、デジタルを通じて顧客の情報を分析し、法人個人の垣根を越えた形でパーソナライズを行っているという。

代表取締役社長の後藤高志氏は、「ホテルは人と人をつなぐ場として、地元を発展させるとともに、デジタルとリアルの温かみのあるサービスを提供していく。すべての顧客との接点を増やして寄り添うことで、世界にたった一つの旅を提供する」と語った。

  • 西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏

同社では顧客情報を法人、個人を問わず管理しており、ロイヤリティマネージメントによって、法人と個人の双方の利用がある人だけできるレストランを用意するなど、顧客に合わせた提案をタイムリーに提案しているという。

また、後藤氏は「Withコロナの中で、デジタルとリアルの融合がテーマであることがわかった。われわれには、そこで働くホスピタリティあふれる人材、地元との強いつながりといった豊富なリアルアセットがあり、これらに、データを結びつけて、よりよい顧客価値を作り出す。コロナ禍で出かけることが難しかったが、出かけたいという人間の欲求は変わらない。価値や行動の変容がある中、変わらないものはリアルな体験、人と人とのつながり。顧客の情報をより多く収集して、よいサービスを提供していく、そうした中でデータの重要性が増しており、顧客IDの統合や西武グループ全体で、リアルとデジタルの融合を進めている」と説明した。

サービスパートナーであるIBMのSlackの活用術とは?

日本IBMは、今年6月にSlackとサービスパートナー契約を締結し、グローバルおよび日本の双方で、Slackをコミュニケーション変革や生産性向上の取り組みとして活用していることを発表した。例えば、システム運用のプロセスにSlackを組み込んで障害アラートをSlackチャンネルへ連携することで速やかな対応につなげたり、また、Slack上でボットを使って交換部品の在庫確認やオーダーをチャット形式で実行可能にしたりしている。

代表取締役社長の山口明夫氏は、Salesforce.comの活用について、以下のように説明した。

  • 日本IBM 代表取締役社長 山口明夫氏

「Salesforce.comでは、営業がどのようなコメントをもらっているかすべてわかるので、それを見て『電話でもしてみよう』という次のアクションにつながる。Salesforce.comを使うことで、日本中の営業の状況だけでなく、お客さまとの関係も見えるようになってきた。Salesforce.comは信頼を築くプラットフォームになっており、すべての人が使うことで、新たな価値を生み出せる」

またSlackについて、山口氏は、「毎朝起きてまず見るのはSlack。Slackを導入したことで、グループ企業と双方向のコミュニケーションがスムーズにできるようになった。また、Slackは社内の経費精算とも連携しており、精算ができるようになるSlackの画面にメッセージが表示される。Slackによって、社内のインテリジェントなワークフローができてきている」と説明した。

さらに、日本IBMでは顧客ともチャンネルを共有しているという。山口氏は、「コロナ禍で、コミュニケーションが難しくなっているが、Slackによって、スムーズにコミュニケーションができた。顧客からは、コミュニケーションがうまくいった理由はSlackの活用と言われた。Slackは、顧客との信頼関係を構築するうえで役立っており、コラボレーションだけのプラットフォームではなかった」と語っていた。

基調講演全般にわたり、Slackに関するトピックが多く、セールスフォースがSlackを重視していることが伝わってきた。一方、今年10月には、Slack Japanが解散して、セールスフォース・ドットコムに吸収合併されることが発表されており、Slackの在り方がこれまでとは変わっていくことも考えられる。これから、セールスフォースのサービス、Slackがどのような変容を遂げていくのか、注目したい。