11月8日~11月10日にかけて幕張メッセにて開催されていた最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2021」。
日立ハイテクグループはオンサイト分析、有害物質分析、元素分析、分光分析、表面・構造分析、バイオ分析、滴定・水分分析、物性分析といったコーナーでさまざまなソリューションの展示を行っていた。
その中で新製品として紹介されていたのが多機能プローブ顕微鏡システム「AFM100 Plus / AFM100」だ。
AFM(原子間力顕微鏡)は、探針と試料表面を微小な力で接触させ、カンチレバーのたわみ量が一定になるように探針・試料間距離をフィードバック制御しながら水平に走査することで、数nm~数百μmといった微細なモノの表面形状を画像化する顕微鏡。
従来のAFMは探針と試料表面を接触させる設定といったプロセスごとに操作が必要であり、使える人が限られてしまったり、レクチャーに時間がかかるといったことが課題としてあったという。
そこでAFM100は、「Auto Pilot」機能を搭載し、プロセスをワンクリックで設定することを可能とし、簡単なレクチャーだけでの観察を実現できるという。
また、電子顕微鏡(SEM)とリンクさせ、同じ観察ポイントをAFMとSEMで観察することも可能になったという。
SEMとAFMでは観察できるものや観察手法が異なっており、同じ観察範囲を両者で見比べたいというニーズが従来からあったというが、観察対象が微細なため、同じ観察範囲を特定するのが困難であった。
そこで同社では、SEMとAFMの両方を設計・製造しているという強みを活かし「SAEMic(セイミック)」というSEMとAFMの相関顕微鏡法を確立。
例えばSEMで腐食した電極めっきの表面の元素分布を観察し、AFMで抵抗分布を観察することで「腐食した部分の抵抗変化の要因が、Auめっきの剥がれと下地であるNi/Cuの露出と酸化であることが、元素分布観察から判明」といった使用が可能だという。
また、同社ではリモート環境でも検査や装置管理が可能な「装置データ収集システム」を新サービスとして紹介。同社の分析装置を対象とし、計測データをクラウドにアップロードすることで分析の進捗や結果をブラウザから確認することができるサービスだという。装置のエラー情報も共有されるため、故障部位を離れた場所から特定し、修理を円滑に進めることができるとしている。
サービスリリースの初期段階のため、対象機種は限られているが、今後拡大していく予定だとしている。
なお、JASIS 2021で出展していた製品などは日立ハイテクのオンライン展示会サイト「ハイテクEXPO」にも掲載されている。