どうしても解決できない問題が出た
購入したばかりのWindows搭載PCは、気持ちよく問題なく動作するものだ。しかし、長く使っていく間に、さまざまなアプリケーションをインストールし、外部デバイスを接続し、ドライバをインストールし、それらをアップデートし、調整を行い、さまざまなデータを溜め込んでいくうちに、調子が悪くなってくる。
不調になったPCの調子を元に戻す方法はさまざまだ。状況と原因ないしは原因と推測される現象が明確に特定できているのであれば、問題の解決方法は比較的見つけやすい。逆に、漫然と調子が悪い、システムが重いといった場合、問題解決に至るのは難しいかもしれない。
使っているPCの中身を把握していれば、PCが不調になったときの対処は容易だ。しかし、目的だけ果たせればよい「道具」として使っているなら、時間をかけてまでその中身を調べておこうとは思わないだろう。問題が出てきてもしばらく我慢してだましだまし使い続け、いよいよどうもならなくなったら新しいPCを買うというのが、多くのユーザーが取る手段ではないかと思う。
工場出荷時の状態へ戻す
アドバンスドユーザー向けとはなるが、調子が悪くなってきたらPCを「工場出荷時の状態へ戻す」という方法がある。これは言葉のとおり、PCが販売されているときの状態に戻すことを言う。工場出荷時の状態へ戻すので、問題が発生したものをすべて消し去って症状が改善する可能性がある。ハードウェアが寿命を迎えている場合は、工場出荷時の状態へ戻しても症状は改善されないが、ソフトウェアが問題となっているパターンであれば、この方法で問題を解決できる可能性がある。
ただし、工場出荷時の状態へ戻すということは、PCのデータをすべて削除することを意味している。工場出荷時の状態へ戻す場合は、外付けストレージやクラウドなどにデータのバックアップを取っておく必要があるし、これまでに行ったアプリケーションやシステムに対する設定するなどもすべてメモに書き出しておく必要がある。工場出荷時に戻したら、もうデータは残っていないのだ。このため、工場出荷時の状態へ戻すという作業には大きな苦労と労力が伴うことになる。
データをクラウドで管理してバックアップを取る必要がない状態にしてあるなら、年に1回くらいのペースで工場出荷時の状態に戻すことは、環境をクリーンに保つよい方法ではある。とはいえ、多くのユーザーは工場出荷時の状態へ戻すことはほとんどないし、面倒なので可能な限り避けたいと考えるはずだ。しかし、こうした選択肢があることは覚えておいて損はない。場合によっては使い物にならなくなったPCが復活するかもしれないからだ。
「DELL XPS 9305」を工場出荷時の状態に戻してみる
PCを工場出荷時の状態へ戻す方法はPCごとに異なっている。多くの場合、メーカーごとに異なる方法を用意している状況だ。同じメーカーのPCでも時代によって工場出荷時の状態へ戻す方法は異なっているため、基本的にはメーカーのホームページで自身のPCを工場出荷時の状態へ戻す方法を調べて実施するという作業になる。
なお、この作業は比較的PCおよびWindowsに詳しいアドバンスドユーザー向けの作業だ。データのバックアップの取り方がわからないとか、最初からセットアップする自信がない場合は避けたほうがよいと思う。また、必ずバックアップを取り、データが削除されることを理解した上で作業を行う必要がある。
本稿では、DELL XPS 9305を工場出荷時の状態に戻す方法を取り上げる。DELL XPS 9305では「Shift」キーを押した状態でWindowsのスタートメニューから「再起動」を選択すると、次のようなスクリーンでシステムが再起動してくる。
ここで「トラブルシューティング」を選択し、次のスクリーンで「工場出荷時のイメージの復元」を選択する。
システムの分析が行われる。
「リセットオプションの選択」で「工場出荷時設定にリセット」を選択する。
まだデータのバックアップを取っていないなら、一旦作業を中止してデータのバックアップ作業を行う。バックアップを取ってあるなら次の画面で「いいえ、ファイルをバックアップしません」を選択してクリーンインストールを行う。