長野県伊那市は10月5日、無人VTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft/垂直離着陸機)を使った中央アルプスと南アルプスの山小屋への物資輸送プラットフォーム構築プロジェクトの開始を発表。川崎重工業(以下略、川崎重工)が開発中の大ペイロード無人VTOL(Vertical Take-Off and Landing aircraft/垂直離着陸機)を用いて、中央アルプスと南アルプスの山小屋への新たな物資輸送を目指す。

  • 中央アルプス・南アルプスでの無人VTOL機による物資輸送プラットフォーム構築事業(同市資料より)

    中央アルプス・南アルプスでの無人VTOL機による物資輸送プラットフォーム構築事業(同市資料より)

プロジェクトは、南アルプスの仙丈小屋、塩見小屋、中央アルプスの西駒山荘に物資輸送のための固定空路の開設と各種ステークホルダーとの調整や法令に基づく許認可等の手続きを行い持続可能な輸送システムの構築を目指すもので、川崎重工が開発中の無人VTOL機を用いる。使用するVTOL機は「K-RACER(Kawasaki Remote,Autonomous and Cargo-ability Enhanced Rotorcraft)」。100㎏以上の大ペイロード、動力はレシプロエンジンで継続航行距離は100km以上、上昇能力は2,000m(標高耐性3,100m)。無人地帯内目視外自動飛行レベル3の能力を持つもので、ヘリコプターによる業務の代替えを視野に入れる。

  • YouTube掲載の無人コンパウンド・ヘリコプター「K-RACER」飛行試験映像より抜粋

    YouTube掲載の無人コンパウンド・ヘリコプター「K-RACER」飛行試験映像より抜粋(プレスリリース)

同プロジェクトには、ドローン物流による買い物支援サービス「ゆうあいマーケット」を構築するKDDI、河川上空をドローン航路にする「INAアクア・スカイウェイ事業」のゼンリンも参画。川崎重工は、事業の取りまとめと機体開発、KDDIは運行管理システム開発支援、ゼンリンは飛行ルート構築支援を行う。

  • 物資輸送プラットフォーム構築事業の体制(同市資料より)

    物資輸送プラットフォーム構築事業の体制(同市資料より)

昨今のアウトドアブームにより山小屋の利用者は増加、運搬物資の大容量化への対応が求められていること、ヘリコプターによる輸送ではパイロット不足など運行が困難になっていることがプロジェクトの背景に挙げられている。