日本オラクルは10月1日、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の製品アップデートに関する説明会を開催した。事業戦略統括 事業開発本部 本部長 佐藤裕之氏は、2020年6月~2021年8月の3カ月間で提供したOracle Cloud Infrastructureの新機能・機能強化は87以上と説明した。
同社は四半期に1度、Oracle Cloud Infrastructureの製品アップデートに関する説明会を開催しているが、佐藤氏は「(Oracle Cloud Infrastructureの)IaaSとしての機能は成熟してきた。現在は、開発や運用管理関連の機能の拡充に力を入れている」として、今回は開発関連のトピックを中心に説明が行われた。
Oracle Cloud Infrastructure 無償学習プログラム
まず、オラクルユニバーシティ ビジネス推進部/研修部 部長の岡田大輔氏が、「Oracle Cloud Infrastructure 無償学習プログラム」の紹介を行った。同プログラムは今年9月から提供が始まった。
岡田氏は、「人材育成の一般的な手段である集合研修は、場所や受講者の調整が難しく、今はコロナ禍で集合研修の開催自体が難しい。また、クラウドサービスはアップデートが頻繁で、カリキュラム改訂に時間がかかり、サービスに追随できないうえ、人材育成の費用を予見しにくい」と、人材育成においてはさまざまな課題があり、それを解決するため、Oracle Cloud Infrastructure 無償学習プログラムを提供するに至ったと説明した。
Oracle Cloud Infrastructure 無償学習プログラムは、「OCI ラーニング・サブスクリプション」と「OCI 認定試験」から構成されている。
「OCI ラーニング・サブスクリプション」には、オンライン・デジタル・トレーニング、Oracle Cloud を使用した実機演習、模擬問題集、ライブ・セッションなどが含まれており、すべて無償で利用できる。
「OCI 認定試験」は、主要なOCI認定試験を無償で受験できるというもの。無償で受験できるのは期間限定で、国内向けの無償受験は 年内の開始を予定している。無償受験可能なOCI 認定試験は、英語の試験が15、日本語の試験が8となっている。
MySQL HeatWave
続いて、MySQL Solution Engineering Director, Asia Pacific & Japan 梶山隆輔氏が、「MySQL Database Service with HeatWave」について、説明を行った。同サービスは、ETLを使うことなくMySQLでの分析処理を高速化するデータベースサービスだ。
梶山氏は、「MySQLを開発しているオラクルが提供しているのがMySQL HeatWaveの最大の特徴。CTOのラリー・エリソンが3期連続で決算報告においてMySQL HeatWaveに触れている。これは異例のことであり、それだけ注目のサービスともいえる」と語った。MySQL HeatWaveはOCIでのみ利用可能で、アプリケーションからは通常のMySQLにしか見えず、アプリケーションの書き換えは不要だ。
今年8月には、機械学習を活用してMySQL HeatWaveを自動化する「Autopilot」の提供が始まった。「Autopilot」には、最適なパーティションキーを予測する「Auto Data Placement」、SQL実行計画を自動チューニングする「Auto Query Plan Improvement」といった機能から構成されている。
オラクルはOCIの説明を行う際、価格と性能の優位性を強調することが多いが、梶山氏はMySQL HeatWaveも競合のデータベースサービスと比べて、高速かつ安価であるとベンチマークの結果を示してアピールしていた。
MySQL HeatWaveを導入したファンコミュニケーションズでは、AWS AuroraからMySQL HeatWaveに移行することで、性能が10倍向上し、コストも大幅に削減することができたという。