課題を解決するためのソリューションは?

清水氏「国土交通省が主導して、飛行機の運航情報を収集することで乗客の利便性を高めようという取り組みがあります。このように、ある程度は行政がイニシアチブを持って導いてくれる場面も必要になると思います。その範囲の中において、各事業者は多数のPoCを実施して、実現可能性のあるものを生み出していけたらなと思っています」

石川氏「それぞれの事業者間での競争を促すためには、行政はあまり関わらない方がうまくいく気がします。しかしその一方で、行政はある程度の方針を示す必要性も感じています。私たちは、国土交通省としてやれることを着実に進めていきたいです」

村瀬氏「民間の事業者が数社でMaaSに取り組んだとしても、生活者全員の行動変容を起こせるわけではありません。その点では、国道交通省に主導して頂くことを期待しています。また、事業者間の連携の点においては、特定の事業者が情報を握るのではなく、さまざまな事業者が安心して公平にデータを共有できる場所を作ってほしいと思います」

山中氏「国や大規模自治体のレベルで、将来のMaaSのあるべきビジョンの策定がカギになると思います。急に完璧なビジョンは作れませんので、実証を繰り返しながらより良いビジョンに改善していきましょう。新しい取り組みにはルールが欠かせません。1事業者によるデータの独占などを防ぐルール作りも必要になるでしょう」

  • Uber Japan モビリティ事業ゼネラルマネージャー 山中志郎氏

加藤氏「本日の参加者の議論を聞いていて、まだまだMaaSという言葉が私たち日本人の体になじんでいないと感じます。第1部のプレゼンテーションにもありましたが、MaaSはもともと北欧から始まった概念であって、そのまま日本で実装するのは無理があります。日本ならではのMaaSは何かを試行錯誤しながら模索していかなければなりませんね」

--本日の議論はいかがでしたか?

清水氏「シームレスな移動やパーソナライズされた移動というのは、最終的には生活者の移動のハードルを下げることが目的です。移動のハードルを下げることで交通量そのものを増やして、その上で社会課題の解決につなげられればと感じました」

村瀬氏「参加者の皆さんの意見を聞いてすごくワクワクしました。最近はコロナ禍で内向きな話し合いも多くなりがちでしたが、本日のように多くの人に向かってMaaSの議論をお届けできてよかったです」

  • WILLER 代表取締役 村瀬茂高氏

石川氏「本日の議論は大変勉強になりました。生活者の皆様や事業者の方々のニーズをくみ取って、MaaSの実現に向けた取り組みがうまく回っていくように、引き続き尽力してまいります」

山中氏「楽しみな時代が来たなと感じます。新しいテクノロジーが次々に生み出されて皆様の生活が大きく変化していく現代において、どのように社会に良いインパクトを残せるのかが楽しみです」

加藤氏「人は生まれてから亡くなるまで多くの時間を移動に使いますので、人生は移動であると言っても過言ではないと思っています。移動の仕方を変えるということは、人生を変えることと同義かもしれません。MaaSの実現によって、新しい人生を経験できるかもしれないと思うと非常に楽しみです」