大日本印刷(DNP)とミライロは9月9日、住民同士が多様性を理解してお互いを思いやる、「心のバリアフリー」を推進するための研修プログラムを提供開始すると発表した。同研修では、DNPが開発したスマートフォン向け助けあいアプリ「DNPソーシャルアクションサービス May ii(メイアイ)」と、ミライロが提供する「ユニバーサルマナー検定3級」を組み合わせて活用する。

  • ユニバーサルマナー検定受講の様子(画像左)、「May ii」アプリ画面イメージ(画像右)

同研修プログラムの特徴として、障がいのある講師が当事者視点で研修プログラムを監修している点が挙げられる。講師が当事者ならではのこだわりと発想のもとで監修することで、支援を受ける人に喜ばれる細やかな配慮を、受講者が身につけられるカリキュラムを構成したという。

また、「ユニバーサルマナー検定」と「May ii」とを連携することで、研修後の実際の行動につなげるプログラムとなっている。受講者に対して、同アプリを用いて研修のおさらいと学んだことを実践するミッションを配信する。アプリを活用することで、学習した知識とスキルの向上や継続的な行動を働きかける目的があるとのことだ。

さらに、同アプリの利用ログやアンケートを集計することで、研修実施後の受講者の意識および行動の変化などの効果を分析して、数値データとして自治体などでの活用を促進する。両社は研修受講者の人数や委託範囲に応じて複数の研修プログラムを用意しており、ベーシックプランは30名から100名程度の研修に対応し、費用は80万円から。

日本政府は、2017年2月に関係閣僚会議で決定したユニバーサルデザイン2020行動計画の中で、心のバリアフリーを「様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと」と定義した。

また、ユニバーサル社会実現推進法の公布および施行や、共生社会実現に向けた機運の高まりなどを受けて、2020年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」を改正し、市町村などにおける心のバリアフリーの推進を提唱している。

一方で、心のバリアフリー関連の施策を実施する自治体にとっては、ポスターでの啓発や研修による教育だけでは、市民の意識や行動を変えていくことが難しいという課題がある。こうした課題に対してDNPは、「ユニバーサルマナー検定3級」と「May ii」を連動させた研修プログラムを提供することで、心のバリアフリーを推進する狙いだ。