大阪市立大学大学院の研究グループは、近年国内でも普及している加熱式タバコが燃焼式タバコと同様に細胞生存率を低下させ、骨分化、骨癒合の阻害をもたらすことを確認したと発表した。

同研究は、大阪市立大学大学院 医学研究科 整形外科学の玉井孝司 病院講師、同西野壱哉 大学院生、同折田久美 博士研究員、同橋本祐介 講師、同臨床医科学専攻の中村博亮教授によるもの。詳細は、学術雑誌「The Journal of Bone and Joint Surgery」のオンライン版に8月11日付で先行掲載された。

以前より燃焼式タバコの骨癒合への悪影響については広く知られているが、加熱式タバコが骨癒合にどのような影響を与えるかは今まで判明していなかったという。

そこで、同研究グループは加熱式タバコが骨癒合に与える影響を明らかにすることを目的に、燃焼式、加熱式でそれぞれタバコ抽出液を作成。前骨芽細胞に投与し、細胞生存率と骨分化誘導条件下における阻害作用を評価を実施したほか、ラットの大腿骨骨切りモデルに対しても各々の抽出液を投与し、4週間後に骨組成、仮骨体積と力学強度の測定を行ったという。

その結果、細胞生存率は燃焼式、加熱式の両群共に時間、濃度に依存して有意に低下したことを確認したという。

骨分化モデルでは、燃焼式、加熱式の両群ともに、骨新生により骨芽細胞より放出されるため骨形成マーカとして用いられる「ALP活性」が対照群より有意に低く、動物実験では、骨塩量、仮骨体積、また力学試験における最大荷重、弾性率が両群共に対照の抽出液を投与しない群より有意に低下したことを明らかにしたという。

同研究結果から、研究チームは、骨折治療中や骨癒合を必要とする手術に際しては燃焼式タバコだけではなく加熱式タバコの禁煙も勧めるべきだとしている。