トレンドマイクロは7月29日、「GIGAスクールにおけるセキュリティ実態調査2021」の調査結果を発表した。同社は2021年6月29日から6月30日、小学校1年生~中学校3年生の子どもがいる保護者(342人)と小・中学校の教員(331人)を対象に、GIGAスクールにおける1人1台端末のセキュリティ意識をWebアンケートで調査した。同調査によると、約2割の子供が学校から受け取った端末で、何かしらのトラブルを経験しているという。

約2割の子どもがGIGAスクール端末でトラブル経験

文部科学省により、GIGAスクール構想による1人1台端末を活用した学習が推進される中、2021年6月末時点で、子どもが学校から端末を受け取ったと回答した保護者は41.2%、教員は70.7%と子どもたちの手にはまだ端末が行き届いていない状況だ。

一方で、子どもが端末を受け取ったと回答した保護者に子どもの端末利用におけるトラブル経験を聞いたところ、約2割がすでに何かしらのトラブルを経験していることがわかった。具体的には、保護者の22.0%、教員の38.5%が、GIGAスクール構想で配備された1人1台端末の利用において、子どもがサイバー犯罪やネット利用などに関するトラブルを経験したと回答。

  • GIGAスクール端末利用で生じたトラブル:保護者回答(n=141、複数回答) 資料:トレンドマイクロ

教員の回答によると、主なトラブル内容は「学習以外の用途での端末利用(ゲームや動画視聴など)」が12.8%、「フィッシング詐欺など不正サイトへの接続」が12.0%、被害者になる「アカウント情報を盗まれる・悪用される」が11.1%、逆に加害者になる「アカウント情報を盗む・悪用する」が11.1%と続いた。

  • GIGAスクール端末利用で生じたトラブル:教員回答(n=234、複数回答) 資料:トレンドマイクロ

約6割の保護者がリスク対策について理解なし

また同調査で保護者の58.9%、教員の29.9%が、子どもが受け取った端末に、危険を回避するための設定やツールなどの技術的対策が施されているかを理解していないことが判明した。同社は、「保護者と教員は子どもが利用している端末に、どのような対策が施されているのか理解した上で子どもを教育することが大切だ」としている。

  • GIGAスクール端末に施している技術的対策:保護者回答(n=141、複数回答) 資料:トレンドマイクロ

  • GIGAスクール端末に施している技術的対策:教員回答(n=234、複数回答) 資料:トレンドマイクロ

こうしたトラブルを回避するため、保護者、教員ともに子供への端末利用に関する教育的対策は重要だ。しかし、同社が子どもの端末利用に関する教育的対策について調査したところ、保護者、教員ともに全項目が半数に満たず、子どもの端末利用における教育が進んでいない状況がわかった。

  • トラブル発生防止に向けての教育的対策:保護者回答(n=141、複数回答) 資料:トレンドマイクロ

同社は、「端末の利用ルールの理解を深め、子どもとのコミュニケーションをはかり、ルールの確認やトラブルに遭遇した際に保護者や教員を頼るように教えることが重要だ」と指南している。