東京大学とIBMは7月27日、日本初のゲート型商用量子コンピューティング・システム「IBM Quantum System One」の「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター(KBIC)」における稼働開始を発表した。東京大学が同システムの占有使用権を有する。
東京大学は同システムを活用し、企業、公的団体や大学等研究機関と量子コンピューターの利活用に関する協力を進める。また、「新川崎・創造のもり」地区に位置する産学交流によるインキュベーション施設であるKBICは、川崎市の支援により、電気、冷却水、ガスなどのインフラの安定供給や耐振動環境といった量子コンピューターの常時安定稼働に必要となる最適な環境を実現しているという。
東京大学、川崎市、日本IBMの3者は、量子コンピューティング技術の普及と発展に関する基本協定書を本年6月に結んでいる。量子コンピューターの安定稼働、量子コンピューター利活用の拡大や普及促進、量子コンピューターを活用した人材育成について、引き続き協力していく方針だ。
さらに同システムの稼働に加えて、東京大学とIBMは、量子コンピューターの普及と発展に向けた活動を強化する取り組みを実施している。量子コンピューター技術の研究・開発を行うハードウェア・テストセンター「The University of Tokyo – IBM Quantum Hardware Test Center」を、東京大学 浅野キャンパス内に2021年6月に開設した。
また、東京大学が設立した「量子イノベーションイニシアティブ協議会」の会員と交流・情報共有の場として「コラボレーションセンター(仮称)」を東京大学本郷キャンパス(理学部1号館10階)に本年8月中旬に設置する予定。両者は今後も量子コンピューターの更なる発展を目指し、このようなさまざまなかたちでの連携を推進していく方針だ。