藤田医科大学は7月26日、ファイザー製新型コロナウイルス向けワクチンを接種した同大教職員219人の血液中の抗体が、2回目のワクチン接種後に大幅に上昇することを確認したと発表した。

同成果は、同大大学院保健学研究科 藤垣英嗣講師、山本康子准教授、齋藤邦明教授らの研究グループと、国立感染症研究所、富士フイルム和光純薬、富士フイルムとの共同研究によるものだという。

具体的な分析手順としては、同大教職員の男性69名、女性150名を対象にワクチン接種前、1回目接種後約14日目、2回目接種後約14日目に採血を実施。新型コロナウイルスがヒトの細胞の中に侵入する際に必要な血液中の受容体結合ドメイン(Receptor Binding Domain:RBD)に結合するIgG、IgM、IgA抗体をそれぞれ測定したところ、すべての抗体は接種後に上昇していることを確認。特にIgG抗体は2回目の接種後に大幅に上昇することが確認されたという。

また、女性の抗体量の平均値は男性より高く、男性は年齢が高いほど抗体量が少ないことが判明したほか、2回目接種後の血液の中和活性を測定したところ、RBDに結合するIgG抗体量が多いほど中和活性が高いことも判明したという。

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    ワクチン接種前、1回接種後、2回接種後の抗体量の変化 (出所:藤田医科大学Webサイト)

研究チームでは、これらの結果は、日本人においてもワクチン接種により抗体ができることを示すもので、ワクチン接種により感染防御能を持つ中和抗体ができていることを示すものだが、そのでき方には個人差があることが示されたとするほか、血液中の抗体測定が、感染防御能を獲得したかどうかを表す指標となる可能性があることも示されたとしており、今後、血液中の抗体量を継続的に測定することで、個人にあったワクチンの接種間隔や接種量、接種回数などを決めることができる可能性があることから、今後も調査を続ける予定だとしている。

なお、今回の研究を踏まえ、今回測定したRBDに結合するIgG抗体量を全自動で迅速に測定可能な自動化学発光酵素免疫分析装置「Accuraseed(アキュラシード)」の専用試薬「アキュラシード COVID-19抗体」(富士フイルム和光純薬)が開発されており、今後は同分析装置を用いて、より大規模な調査を進めることで、感染から防御するために必要な抗体量の指標なども調査する予定だとしている。