アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)は6月25日、コマツが建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために展開しているソリューション「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション(DXスマートコンストラクション)」に、同社のクラウドサービス「Amazon Web Services」を採用したと発表した。
DXスマートコンストラクションは、コマツの顧客の建設生産プロセス全体のあらゆるデータをICTで有機的につなぐことで現場のデータ可視化し、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場を創造していくソリューション。
「スマートコンストラクション」は2015年2月にサービスが開始され、「ドローンによる高精度3次元測量」「3D設計、データ作成」「施工実績管理」といったサービスを提供してきた。説明会において、コマツ 執行役員 スマートコンストラクション推進本部長 四家千佳史氏は、「スマートコンストラクション」を提供するに至った背景について、次のように説明した。
「われわれは建設現場を支援する機械を開発し提供してきたが、それでは部分最適にしかならないことに気が付いた。メーカーは自社の製品から、顧客のオペレーションを見ている。2015年、現場の全体を見直して課題を解決していくことを決めた。そこで、従来のサービスではないスマートコンストラクションを提供することにした。スマートコンストラクションを通して、顧客のオペレーションを見直し、一緒に課題を解決していく」
「スマートコンストラクション」ではプロセスごとのデジタル化は実現されたが、コマツでは次のステップとして、デジタル化されたプロセスがつながることを目指すことにしたという。四家氏は「DXが活発に行われている中、施工のプロセスも変革が起こると考えた。そこで、施工全体を最適化することで、施工のDXを実現することを目指すことにした」と述べた。
そこで、コマツでは欧米の顧客とオペレーション・プロセスを検証した結果、施工の工程の大半はアナログであり、各ステップがデジタルにつなげられていないことが確認できた。さらに、個々のオペレーション・プロセスについて、最新のテクノロジーでデジタル化の可否を検証し、ほぼすべてのプロセスがデジタル化された場合、 施工プロセス全体にDXが実現されることを検証できたという。
施工全体のDXを支援するソリューションが「DXスマートコンストラクション」となる。同ソリューションを活用して、モノ(モノ(建設機械の自動化・高度化)とコト(施工オペレーションの最適化)で施工のデジタルトラ)とコト(モノ(建設機械の自動化・高度化)とコト(施工オペレーションの最適化)の双方から、施工のDXを目指す。同ソリューションは「デジタル化層」「プラットフォーム層」「アプリ層」の3つの層から構成されている。
四家氏は、AWSを採用した理由として、「AWSなら世界中のどこの国、地域でも高品質なサービスを均質に提供できる」「AWSはリソースを確保しやすく、サービスの種類が豊富でビジネロジックの開発に多くの時間を使えるので、やりたいことを即座に実行できる」「国内、海外の技術パートナーが、AWSを基盤に開発を行っていた」「AWSの顧客への姿勢に共感でき、学ぶものがあった」の4点を挙げた。
コマツが利用しているAWSのサービスについては、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 執行役員 技術統括本部長 岡嵜禎氏が説明を行った。同氏は、AWSを活用している「スマートコンストラクション」のポイントについて、「物理の世界である建設現場と仮想の世界であるアプリを融合することで、デジタルツインを実現していること」と語った。
AWSは「スマートコンストラクション」を「仮想サーバ」「コンテナ」「サーバレス」という3つのモデルによってサポートしている。岡嵜氏は「新しい領域はクラウドネイティブな環境が適している。スマートコンストラクションの新規開発はサーバレスで行われている」と説明した。サーバレスを利用することで、インフラにかかる工数を削減し、注力すべき業務に専念することが可能になる。