データ拡大によるつながりの可能性
スターバックスは2020年に学んだことを生かして、80を超える市場の地域コミュニティ全体で「サードプレイス」を構築する準備ができています。これを行うには、データを活用して、どこであってもお客さまの期待に応え続け、それを超えるエクスペリエンスを開発する必要があります。
米国では、ドライブスルーやスターバックス ピックアップ、カーブサイドピックアップといった新たな店舗の形態とエクスペリエンスの組み合わせを推進しています。このように「サードプレイス」の接点は多数ありますが、スターバックスは、店舗、カーブサイドピックアップ、デリバリーでの注文など、お客さまとのすべての接点においてテクノロジーが完璧に機能するようにする必要があります。
データ基盤が整っているので、小売業者、非小売業者の両方のパートナーに、関連する分析とビジュアライゼーションをすばやく表示できます。パンデミックの間、これにより、彼らは新たなセーフティープロトコルを作成し、パートナー支援のための福利厚生と補償を拡大して、スターバックスのパートナーが仕事を取るか健康を取るかの選択をする必要がないようにしました。
スターバックスのお客さまに対して、データ対応したスターバックスは、短期および長期的な行動の変化に迅速に適応します。人々は依然として他者に見られ、つながりを感じる必要があること、そして、リテールエクスペリエンスは一貫性がありライフスタイルに適合している必要があると分かりました。データによると、お客さまが人々と地球をサポートする高品質でサステナブルな製品と体験を依然として期待していることが分かります。ナイドゥ氏は、これらのインサイトは、現在および将来にわたって「人にポジティブ、植物にポジティブ、そして利益にポジティブな企業」であり続けるというスターバックスの決意を伝えるのに役立つと述べています。
「不気味ではなくクールな」イノベーションのためのAI/ML
もちろん、データを扱うこのすべての業務は、コアな部分を信頼して行われる必要があります。スターバックスは、データの透明性と強力で安全なガバナンス・エクスペリエンスの提供に情熱を注いでいます。社内では、すべてのレベルの小売業界のリーダーやパートナーが利用可能な、データの全体像を提供することで、ビジネスの感覚を高め、その店舗のP&L(損益)に対する説明責任を促します。
トップラインレポートには、サイト選択や他の基準に関する詳細も含まれているため、パートナーは、適切な判断を下すためにデータがどのように組み合わされているかも理解しています。スターバックスの目標は、すべてのパートナーにデータを受け入れて使用させることです。
スターバックスはデータを一般の人々と共有することに対しても透明性が高く、Tableau Public上にDiversity & Inclusion Scorecard (ダイバーシティとインクルージョンのスコアカード)を公開しています。ダイバーシティとインクルージョンの目標を公開することで、同社はその他の大手上場企業のベンチマークとなることを目指しています。
さらに、データおよびアナリティクス・チームは、ハイパーパーソナライズと徹底的な自動化に関する将来の可能性について取り組んでおり、データを使用してより多くの情報に基づいた意思決定を行い、パートナーが人と人とのつながりを持つための時間を解放する方法に注力しています。
お客さまは、AIイニシアチブによって可能になった、Deep Brewと呼ばれる、よりパーソナライズされたデジタルエクスペリエンスを近々体験できます。このエクスペリエンスは、お客さまの住んでいる場所や好み、習慣に合わせるものです。また、AIによる進め方、特に適切なデータを会社に取り込むこと、何のデータなのか明らかにすること、誰がアクセスできるかについても注意を払っています。
「デジタルでの関係を深めるために当社はAIを活用し、経験による小売りタッチポイントを提供する体験を設計しています。われわれは新たな方法で、お客さまを驚かせるだけでなく喜ばせたいと思っています。そして、われわれの価値観にふさわしい利用方法を模索しています。われわれはこれを不気味でなく、クールなテクノロジーで実施したいのです」と、ナイドゥ氏は述べています。
データ主導により、お客さまがいる場所でお客さまに会う
最近、複数のデジタルチャネルで働いている小売業者と何度か話をしたのですが、そこから共通のテーマが浮かび上がりました。それは、テクノロジー、カスタマーエンゲージメントスタイル、多くのチャネルにおける急激なペースの変化が大きな課題であるということです。最近のPwCのレポートによると、CEOの69%が変化のスピードに苦慮しており、ついていくのに苦労しています。一方で、「テクノロジーとビジネスへの潜在的な影響について気づくことで、大きな進歩を遂げた」と答えたのは、わずか20%でした。
急激な変化の時代において、適応性を養うことは、かつてないほど重要になっています。変化の衝撃を吸収できる組織は、変動性を克服できるだけでなく、そこから恩恵を受けることすら可能です。 Tableauは、スターバックスのようなお客さまから、データを使用して問題を解決し、成長を加速し、そして最も重要なこととして、人間中心の体験を人々にもたらす方法について伺うことを歓迎しています。
デジタルトランスフォーメーションを実施しているすべての企業は、お客さまに対してより良いサービスを提供し、お客さまとつながるためにデータが主導的な役割を果たすことが必要です。そして、Salesforceの一員となった今、誰もがデータを使用して、フィジカル、そしてすべてのデジタルチャネルでお客さまに会うことができるようますます支援していく立場です。そして、皆様が各々の特別な「サードプレイス」を体験いただければと考えています。
著者プロフィール
アンドリュー・ビアーズ(Tableau Software 最高技術責任者)
Andrew Beers は Tableau の CTO (最高技術責任者) として、Tableau の長期的なテクノロジーロードマップおよび新興テクノロジーを担当している。Tableauでは、数多くのエンジニアリングチームを率い、新製品を生み出し、製品のコードも自ら書いた経験を持っている。Tableau設立以来、そのほとんどの期間でエンジニアリングの中核を担う存在となってきた。2004 年のTableau入社以前は、インビザラインシステムのメーカーである Align Technologyでエンジニアリンググループを率い、大規模なカスタム製造をサポートするソフトウェアの構築を行っていた。スタンフォード大学でコンピューター科学の修士号を取得し、当時は Pat Hanrahan のコンピューターグラフィックス研究グループに所属していた。