ニチレイロジグループ本社と日立製作所は4月22日、両社の協創を通じてIoTを使用する冷凍設備の運用・保全効率化ソリューションを実用化したと発表した。

新ソリューションは日立グループの運転・音・画像データ解析技術や故障予兆診断技術などを組み合わせたもので、両社は2018年9月から1年半ニチレイロジグループ船橋物流センターで実施した共同実証で、従来と比べ運用・保全コストを約20%削減できることを確認し、日立が汎用ソリューションとして製品化した。

  • ソリューションの概念図

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冷凍倉庫を国内で114拠点運営するというニチレイロジグループと、冷凍設備に関する知見・研究開発力やデジタル技術を持つという日立は、冷凍設備の運用・保全業務の効率化に向けて、2017年から同ソリューションの検討を進めてきた。

2018年8月から2020年4月まで、千葉県船橋市にあるニチレイロジグループ船橋物流センター内の冷凍設備6台を対象に実施した同ソリューションの共同実証の結果、年間で電力消費量を約12%削減、メンテナンスに関わるコストを約40%削減、トータルで約20%のコスト削減効果を確認したとしている。

同ソリューションは、日立グループの運転・音・画像データ解析技術や故障予兆診断技術などの組み合わせにより、冷凍設備の運用・保全の効率化を図る。

まず、各種センシング技術や日立産機システムのIoT対応産業用コントローラである「HXシリーズ」、日立システムズの社会・公共ソリューションである「CYDEEN」のメーター自動読み取り技術およびフィールド作業支援サービスを使用して、運転状況や稼働音、メーター数値など、分析・診断の高度化に関する多様なフィールドデータを収集する。

そのデータを、日立の統合エネルギー・設備マネジメントサービスである「EMilia(エミリア)」をベースとするクラウドサービス基盤へ集積して運用効率化診断をすると共に、日立グローバルライフソリューションズの「exiida(エクシーダ) 遠隔監視・予兆診断」で故障予兆診断を行う。これらの診断結果は、BI(ビジネスインテリジェンス)・ダッシュボードを通じて拠点管理者や設備管理者が確認できるという。

ニチレイロジグループは、2021年4月から国内の冷凍倉庫へ同ソリューションの導入を順次進めていく。日立は、同ソリューションをLumadaの冷凍倉庫向けソリューションとして国内にある8万台を超える冷凍設備を対象に拡販すると共に、グローバルにも展開していく。これにより、コールドチェーン業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進と低炭素社会への貢献を目指す方針だ。