米VMwareは3月31日(現地時間)、分散型マルチクラウドプラットフォーム「VMware Cloud」を発表した。「VMware Cloud」は、従来型のアプリケーションとモダンアプリケーションのサポート、各種ネイティブクラウドサービスへの接続を可能にし、開発者とIT運用担当者の双方の要件に対応する。

ユーザーはVMware Cloudを利用することで、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud、IBM Cloud、Oracle Cloud、VMware Cloud on Dell EMC、VMware Cloud認定パートナーが運用するクラウド上のVMware Cloud Foundationにアプリケーションを展開・実行することができる。

VMware 最高執行責任者(COO)プロダクトおよびクラウド サービスのラグー・ラグラム氏は、VMware Cloudが必要とされる背景について、次のように説明した。

「当社の調査で、企業の80%がデータセンター、クラウド、エッジにまたがる分散型モデルでアプリを展開していることがわかっている。分散環境では、複数のパブリッククラウドを利用する中で、アプリケーションを近代化して一貫した形で展開し、セキュリティを確保することが求められている」

  • VMware 最高執行責任者(COO)プロダクトおよびクラウド サービス ラグー・ラグラム氏

  • VMware Cloudの概要

また、ラグラム氏は、デジタルトランスフォーメーションが進まない要因として、「アプリケーションのモダナイゼーションが難しいこと」「アプリケーションをクラウドに移行する際に時間がかかること」「クラウドによってセキュリティと管理がサイロ化すること」を挙げ、VMware Cloudによって、これらの課題を解決すると述べた。

同社の試算によると、VMware Cloudを利用すると、 「開発者の生産性の80%の向上」「運用コストの59%削減」「クラウドへの移行を46%高速化」を実現することがわかっているという。

ラグラム氏は、VMware Cloudを利用するメリットについて、「変更を加えることなく、アプリケーションをクラウドに移行することが可能になり、開発者はkubernetesの環境で、好きなパブリッククラウドを選ぶことができる。TCOも最小限に抑えることができる」と語っていた。

同日、「VMware Cloud Universal」「VMware Cloud Console」「App Navigator」という新たなソリューションも発表された。これらについては、VMware クラウド サービス部門ゼネラル マネージャのマーク・ローマイヤー氏が説明を行った。

  • VMware クラウド サービス部門ゼネラル マネージャ マーク・ローマイヤー氏

「VMware Cloud Universal」はサブスクリプションサービスで、VMwareのマルチクラウドインフラと管理に利用できるクレジットを購入し、オンプレミスのVMware Cloud Foundation、VMware Cloud on AWS、VMware Cloud on Dell EMCでの導入に適用できる。

ローマイヤー氏は、「VMware Cloud Universal」のメリットを4つ挙げた。1つ目のメリットは「選択肢と柔軟性」だ。1度購入すると、クレジットのプールが生まれ、契約期間中いつでも対象サービスをデプロイできる。2つ目のメリットは「クラウドの加速化」で、PerpetualライセンスをVMware Cloud Universalクレジットにも活用できるため、オンプレミスへの投資をクラウドに回すことができる。3つ目のメリットは「互換性」で、未使用のオンプレミス用Cloud FoundationクレジットをVMware Cloud on AWSやVMware Cloud on Dell EMCに振り替えて適用することが可能だ。4つ目のメリットは「SaaSベースのマルチクラウドの運用管理の実現」だ。

「VMware Cloud Console」は、オンプレミス・クラウド・エッジ環境にまたがるVMware Cloudのインフラをエンド・ツー・エンドで可視化・制御できる統合ポータル。Cloud Consoleを通じて、クレジットの振り換え、VMware Cloud Universalの対象製品のデプロイのプロビジョニング、VMwareのサポート部門への問い合わせなどが行える。

「VMware App Navigator」は、4週間の契約で、企業におけるアプリケーションのモダナイゼーションにおける評価と優先順位付けを行うサービス。アプリのポートフォリオ分析にアジャイルアプローチを採用している。サービス期間中、ユーザーはVMwareの担当者とアプリのポートフォリオを合理化し、ビジネスとITの目標に基づき、アプリごとにモダナイゼーション戦略と環境を明確化し、成果指向のロードマップを策定する。

VMware Cloud Universalの国内提供は、2022年度後半(2022年1月28日まで)に予定されており、VMware Cloud ConsoleもVMware Cloud Universal準じることになる。VMware App Navigatorは同日より提供が開始される。