NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)は3月24日、スマートシティの実現に向けたデータ利活用の取り組みを開始すると発表した。現実世界をデジタルデータで仮想的に再現する「デジタルツイン」を、ビルなどの建物空間を対象に生成する技術の実証実験を、2021年3月から9月までの予定で実施する。

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GUTPは、BIM(Building Information Modeling)を始めとする建築物データの利用手法や、クラウドを用いたデジタルツイン・アプリケーションを構築するための研究を開発している。一方NTT Comは、データの収集・蓄積・活用までを一元的に実現できるという「Smart Data Platform」を提供しており、同サービスを利用したデジタルツインの社会実装を目指している。

一般にデジタルツイン・アプリケーション構築における標準化した手法やプロセスは、現在確立されておらず、建築、設計、ビルサービスなどの分野から多くの企業・団体が参画する共創環境を実現するためには、アプリケーション構築技術の標準化が急務とのこと。今回の実験を通じて両者は、このような状況の解決を図る。

同実証実験でGUTPは、NTT Comと実証実験環境を構築し、試験的なデジタルツイン・アプリケーションを作成する。実際にBIMを用いたアプリケーションを構築することで、最適な構築プロセスと手法に関する知見を蓄積し、標準化への提言に向けた取り組みにつなげる。

さらに、作成したアプリケーションを用いて、実際にデジタルツイン空間上で現実世界にある清掃ロボットを制御するなどの実験を、NTT Comの共創環境である「Smart City Lab (仮称)」で行っていく。想定している検証プロセスは、ジオメトリ生成、メタデータ生成、IoTデバイスとの連携、アプリケーション開発の4種類。

同実験において、GUTPは実証および研究計画の策定、技術検証の実施を担当する。一方NTT Comは実証環境の提供(実証場所、センサー、ロボットなど)およびSmart Data Platform環境の構築を担う。