日本電気(NEC)は3月19日、宇都宮市中心街のアーケード商店街において、映像解析により人の密集度合いを可視化するソーシャルディスタンシング判定技術の実証実験を、2021年1月から2月にかけて実施したと発表した。混雑度を分析・可視化してデータ化することで、イベント開催や感染症拡大防止の推進などでの利用を目指す。

  • ソーシャルディスタンシング判定技術のイメージ

宇都宮市やNECなどで組織するUスマート推進協議会では、宇都宮スマートシティモデル推進計画の施策である「スマート・ホスピタリティ」実証プロジェクトにおいて、収集する人流データからリアルタイムの混雑情報を中心市街地の来訪者に対して情報発信することで、イベント時における来訪者の安全確保や地域経済活性化を目指しているとのこと。

今回発表した実証実験では、アーケード商店街内の4カ所に映像解析用カメラを設置し、映像内の場所と大きさの関係を計算することで人と人の距離を高精度に求められるという、ソーシャルディスタンシング判定技術の利用検証を行った。

例えば2メートルといった確保すべき距離を円で表示し、円同士が重なる場合(人と人との距離が確保できていない状況)を赤い円、円同士が重ならない場合(人と人との距離が確保できている状況)を青い円として表示したものをデータとして取得する。このデータを、時間別に人数及び混雑度を統計化してグラフにする。これらのデータを使用し、イベント開催や都市内回遊性、感染拡大防止などの推進を目指す。

なお、歩行者個人を特定可能な情報は保存せず、統計情報である推定データのみを保存することで、プライバシーに配慮しているという。

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実証の結果、対象エリアにおける1日の歩行者数と混雑度の推移や平日休日の違い、また街中イベント時の傾向などの分析結果を得られたとのこと。歩行者数や混雑状況をリアルタイムに把握する技術は、交通・公共施設や観光地などでの回遊性向上や感染防止対策、ルート案内やスタッフ配置計画などでの利用が期待できるとしている。

  • PLATEAUの画面イメージ

同実証実験で取得して分析・可視化した密集度合いのデータは、国土交通省が推進する実世界(フィジカル空間)の都市を仮想的な世界(サイバー空間)に再現する3D都市空間情報プラットフォームであるプロジェクト「PLATEAU」の3D都市モデル実証環境へ提供することで、全体最適・市民参加型・機動的な街作りの実現を目指しているという。

なお、同実証実験はPLATEAUにおいて、3D都市モデルのユースケース開発の一環として実施するもの。NECは同プラットフォームに参画することで、デジタル化社会における街作りのデジタルトランスフォーメーションを進めるとしている。