Twilio Japanは3月18日、2020年のデジタルコミュニケーションの主なトレンドと企業の顧客コミュニケーションの状況について調査した「顧客エンゲージメント現状分析 2021」を発表した。同日、記者説明会を開催し、代表執行役員社長の今野芳弘氏が説明を行った。
昨年よりDXへの投資を拡大、日本企業がグローバル上回る
今野氏は、調査を行った背景について、「クラウドコミュニケーションプラットフォームによりイノベーションの加速をサポートする企業として、デジタルコミュニケーションの傾向とグローバル企業のデジタル化の推進方法を明らかにするため」と説明した。
調査対象国は米国、英国、ドイツ、オーストラリア、フランス、スペイン、イタリア、日本、シンガポールで、調査対象者は従業員数500~25,000人超の企業における部長級から重役レベルの2500人。
今野氏は、日本に関する調査結果のポイントとして、「ツール導入期間の短縮」「生き残りに必須となるデジタル化」「コミュニケーションの投資や拡大には前向き」を挙げた。
新規でデジタルコミュニケーションツールを導入するにあたり、導入期間 が72日から 33日と約半分に短縮された。その理由としては、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴う昨年4月の緊急事態宣言などにより、すぐにテレワーク環境下で顧客とコミュニケーションする手段が必要になったためと考えられるという。
また、顧客とのコミュニケーションをデジタル化しない弊害については、「顧客の期待に応えられなくなる」(48%)という回答が最も多く、コミュニケーションツールの数を維持または増加させたい日本企業は97%に上る。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する投資については、前年よりも拡大するグローバル企業が平均46%であるのに対し 日本企業は平均52%となっている。
今年度は人的リソースを前年比倍増
今野氏は、今年度の事業戦略についても説明した。同社は、カスタマーエンゲージプラットフォームを提供しており、サードパーティの多様なチャネルとの接続をAPIで実現する。同氏は、「当社のプラットフォームを導入すれば、APIを用いて、コミュニケーションチャネルを容易に作ることができる。また、クラウドサービスであるため、使い始めるのもやめるのも簡単」と同社のプラットフォームの強みを語った。
また、「日本企業は顧客に対するサービスの向上として、製品のクオリティを高めることを重視する傾向にあるが、米国の企業は顧客体験の向上を重視している。優れた製品に加えて、サポートや記憶に残る体験を顧客に与えることで、ロイヤリティの拡大につながっていく。今、顧客エンゲージメントを高めることが重要になっている」と、顧客エンゲージメントの重要性を訴えた。
また、今年度の事業戦略としては、国内の人的リソースを前年比で2倍に強化するほか、「日本向け製品の改善」「パートナー拡大」「エンジニアコミュニティの拡大」に取り組むという。
エンジニアコミュニティの拡大においては、エンジニアのポテンシャルを上げていくことで、顧客エンゲージメントを支える同社のソリューションやテクノロジーの必要性を訴えていくという。
今野氏は、最近の同社製品の売れる傾向として、「電話+AI」「SMS」「コンタクトセンター」を挙げた。コンタクトセンターにおいては、新型コロナウイルスの影響により在宅で業務ができるようにするニーズが高まったほか、コールセンター業務の負荷を軽減するために、定型業務の自動化を進める企業が増えたのだという。